盛岡タイムス Web News 2012年 6月 18日 (月)

       

■ 〈幸遊記〉76 照井顕 荒川憲二郎のドラゴンジャズ

 1980年代の夏、まるで渡り鳥のように、秋田県田沢湖町から岩手県陸前高田市にあった僕の店を目指して、200`余りの道程を当時ドカバイと呼ばれた黒の50cc原動機付自転車に乗って、毎年毎年、必ず飛んで来たジャズファン荒川憲二郎さん(55)。

  彼がジャズを好きになるきっかけとなったのは、僕と同じ。岩手県宮古市出身の世界的ジャズピアニストになった、故・本田竹彦(広)のレコードを聴いてからだった。

  その荒川さんは、僕の店「ジョニー」に通い出して10年目の年、意を決し、自分の住む田沢湖町に、ジャズファンクラブを立ち上げたのでした。その名はドラゴンジャズサークル(田沢湖邪頭倶楽部)というもので、確か20数名での発足。当時は、全国にそうしたファンクラブが数多くあった。今ではそのほとんどが姿を消してしまったが、ドッコイ!田沢湖ジャズクラブは健在で、結成20周年を越えた。これまで年2回ペースで52回もの生ジャズ演奏会を開催してきた。恥ずかしながら1度だけ僕のバンド「アテルヰじゃんず楽団」を町民会館のリハーサル室に呼んでくれたことがあった。素人のバンドはこの時だけで、あとの51回は全てNYと東京からの一流どころ。

  結成時からジャズサークルの顧問にさせられている僕は、名前だけでは申し訳ないと、1996年から、わが日本が誇る!世界のジャズピアニスト・穐吉敏子さんを紹介し、これまで9回田沢湖で開催した。その9回目となった今回の穐吉敏子ソロ(2012年6月15日)は、その田沢湖ジャズクラブ始まって以来の大入り!会員全員が大喜びし、満面の笑みをたたえてた。

  今この世は、インターネット情報の時代だから、あちこちから問い合わせが来る。でも、それはあくまでもプラスアルファ。荒川会長をはじめとする全会員の手売りによるチケット販売の賜物なのである。今年はドラゴン(竜)年、彼らにとっても最高の年となった。

  その穐吉ジャズを聴きながら、湖畔の絵(120号)を描いたのは、屋根のないアトリエ作家・菊池如水さん(90)。それを終演後に披露し万来の拍手。

  そういえば16年前、荒川さんを主人公にした僕の初小説「瑠璃色の夜明け」というのがあったなぁ。
      (開運橋のジョニー店主)


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