盛岡タイムス Web News 2012年 7月 3日 (火)

       

■ 〈詩人のポスト〉 夕暮れの街 藤野なほ子


沢山の人が橋を渡っていく

長い影を落としていく夕暮れに
佇む人はいない
ゆらゆらと沈もうとする夕陽の中を
誰の顔をみることもなく
確かめることもなく
憑かれたようにただ未知に向かって
歩いていく

夕陽が街を斜めにさしていく
私もいそぐ 家路へと
夕暮れの街を 一人また一人と
時の向こうに消えていった影は
心の奥深く
年と共に一日はあまりにも早く
過ぎ去ることに
あくせくしながらただせかされる思いで
明暗もあらわに立ち並ぶビルの向こう
山の端にかかる遠い夕陽をみる
重い肩の荷物をずり上げながら




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