盛岡タイムス Web News 2012年 7月 11日 (水)

       

■ プラスチックをくっつきにくく 県工技センターと東亜電化 金型にナノ薄膜技術

     
   「TIERコート」を金型に加工するための有機薄膜形成抵抗蒸着装置。東亜電化では2011年度から本格的に、TIERコートの受注を開始。コンスタントに加工処理依頼や問い合わせがあるという=盛岡市玉山区の東亜電化工場内  
   「TIERコート」を金型に加工するための有機薄膜形成抵抗蒸着装置。東亜電化では2011年度から本格的に、TIERコートの受注を開始。コンスタントに加工処理依頼や問い合わせがあるという=盛岡市玉山区の東亜電化工場内
 
  県工業技術センターと東亜電化(三浦宏社長、盛岡市玉山区)は、プラスチックをナノメートル(10億分の1メートル)単位で成形する精密な金型に薄膜を塗布し、型にくっつきやすいプラスチックを正確な形状のまま取り出す技術を開発した。東亜電化は、この薄膜を作る技術を事業化し、「TIERコート」の製品名で、メーカーなどからの注文に応じている。携帯電話やカメラなどに用いられる微細なプラスチック部品の需要は拡大傾向。海外の安価な製品の追随を許さない分野として注目されており、岩手発の薄膜形成技術にも期待がかかる。


  金型によるプラスチック製品の成形では、一般に、素材が型に張り付かないよう、あらかじめ離型剤を塗る。ナノメートル単位の微細な成形では、離型剤が金型の形状の精度を低下させることや、成形するたびに離型剤を塗り直さなければならない作業効率の悪さが課題になっていた。

  そこで、同センターと東亜電化は、金型の表面に数十ナノメートル以下で、高い離反機能と耐久性を持つ薄膜を形成する技術を研究。素材がくっつきにくいフッ素樹脂を、金属との接着性が高いトリアジンチオール(硫黄の有機化合物)で金型に密着させることで、理想の離型膜を実現した。トリアジンチオールは薄膜素材として岩手大や同センターが長年、研究してきた。

  開発した離型膜は厚さ20ナノメートル程度と超薄膜。真空中で原料を蒸気化し、金型に均一な厚さで膜を作る。クロムめっきやステンレス系、鉄系などの金型に対応する。強力な接着剤として知られるエポキシ樹脂を用いた耐久性評価でも、一度の加工で5千回以上の離型を実証。製品の不良率も従来の離型剤塗布による成形に比べ10分の1以下に抑えられた。

  携帯電話やゲーム機に内臓されるマイクロレンズアレイフィルム(微細なレンズが並んだシート)の金型や光ディスク読みとり用の微小レンズ用金型などへの活用が期待されるという。

  同センターの鈴木一孝・ものづくり基盤技術第1部長は「人件費が安い海外との競争の中、生き残っていくためには超小型、超微細といった高精度な技術や、ニッチな分野に対応する特徴的な技術が求められる。金属の接着と離型については岩手をメッカにしたい」と意欲を燃やす。

  東亜電化開発技術課の千葉裕課長も「金型分野では絶対に必要な技術で、簡単には追いつけない性能があると思う。事業の柱の一つになれば」と話していた。

  開発技術は11日午後1時15分から、同センターで開かれる研究成果発表会でも紹介される。

 

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