盛岡タイムス Web News 2012年 7月 12日 (木)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉311「七夕のころ」八木淳一郎

 七夕といえば旧暦のお話ですから、七日月すなわち月齢7のお月様が天の川辺りにかかる頃。今年は7月ならば25日が月齢6で、26日が月齢7ですが、どちらもちょっと天の川からの距離があるようです。8月ですと24日が月齢7ほどで、天の川の西岸の辺りに位置します。今年はこの中のいずれが旧暦の七夕になるのでしょうか。そうは言いましても現代の七夕は商店街のお祭りの意味が強いですから、プランを立てやすい7月7日や8月7日にやることになるのでしょう。

  午後10時を過ぎる頃には天の川がほぼ真上にやってきて、空の暗い、地平線近くまで視界の開けたところでは、天の川銀河の中心部である南側の、星座であればさそり座やいて座などの辺りが雲のように見えるものです。天の川の西側にはヘルクレス、へびつかい、真っただ中にはくちょう、東岸のわし座が位置しています。わし座といて座の間には、あまり知られていないたて座という小さな星座があります。この辺りはよく見ると天の川がとりわけ濃くなっていて、「スモールスタークラウド」と呼ばれています。星が密集して小さな雲の切れ端のように見えるからです。

  人工灯火から逃れて、山の中で夜空を仰ぎ見ると、静寂の中での星の明滅は呼吸をしているかのようであり、じっと見続ける自分自身の鼓動や息遣いに呼応しているかのように感じます。普段、町の雑踏や、施設や職場あるいは趣味の集まりなど、大勢の人とともに暮らしている私たちですが、こうして星空に対峙(たいじ)したとき、いかに孤独で無力な存在であるかに気付かされます。その一方で、大自然のふところに抱かれながら、無数の星々と同じように宇宙を構成する一員なのだということも実感します。こうして生まれてきて、生きていることによって、宇宙というとてつもなく大きなものが存在していることや、自分もその宇宙の一部なのだということに思いを巡らせることができるのでしょう。そしてまた、生き方はそれぞれでも、宇宙の圧倒的な存在の前では大同小異なのかもしれません。
(盛岡天文同好会会員)


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