盛岡タイムス Web News 2012年 7月 13日 (金)

       

■ 感染制御支援チームを常設 大震災被災地ケアで成果 医療、大学、自治体の協働

     
  感染制御支援チームの取り組みを協議した第1回連絡会議  
  感染制御支援チームの取り組みを協議した第1回連絡会議
 

 県は、東日本大震災津波で感染症の予防や拡大防止に成果を上げた「いわて感染制御支援チーム(ICAT)」を常設する。チームの取り組みについて情報共有する第1回連絡会議が11日、盛岡市の県公会堂で開かれた。ICATは感染症対策の専門知識を持つ医師や看護師らで組織。大規模災害の発生時、感染症の発生状況の把握をはじめ、避難所での予防指導、患者の隔離まで一貫して対応する。県や大学が協力してチームを常設し緊急時に備えるのは全国でも初めて。震災津波の教訓を危機管理に生かす実践的な取り組みとして注目される。

  会議にはICATのメンバーをはじめ、県内10カ所の保健所の保健師ら合わせて約30人が出席。東日本大震災津波でICATメンバーとして活動した岩手医大の櫻井滋感染対策室長と県立中央病院感染管理部の福田祐子看護師長が当時の模様や課題を報告し、今後の取り組みについて意見交換した。

  話し合いでは、内陸部の県立病院や岩手医大のスタッフ10人で立ち上げたICATに、県北や沿岸地域のメンバーを加えていくことや、自治体の最前線で公衆衛生活動に当たる保健師らと情報共有し、連携を図っていくことなどを確認した。ICATの統括責任者には県立磐井病院の加藤博孝院長が選任された。

  チームの事務局は県医療推進課に置き、連絡会議の開催や防災訓練でのICATの位置づけなどについて調整を図っていく。

  昨年3月の東日本大震災津波では、沿岸市町村が壊滅的な被害を受け、地域防災計画に基づいた県、市町村中心の感染症対策が事実上、困難な状況に陥った。このため、岩手医大や県立病院の感染制御の専門家が中心となり、DMAT(緊急時災害医療チーム)を参考にしたICATを設置。医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師の計10人がメンバーとなり、昨年4月から8月にかけ、避難所の巡回・監視、サーベイランス(感染症発生動向調査)などに取り組んだ。

  統一的なサーベイランスの方法により、被災地から毎日報告を受けることで、感染を抑制する取り組みが迅速に機能。インフルエンザなど感染症の集団発生は近県に比べても小規模(30人程度2回)にとどまり、その成果は日本感染症学会などからも高い評価を受けた。

  ICATの事務局を担った櫻井室長は「有事の際、行政の担当を越えて、感染症対策の知識を持つ医師や看護師、保健師らが機動的に動く仕組み。全国にも例がなく、県外で災害が起こった場合の支援にも力を発揮するはず」と話す。


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