盛岡タイムス Web News 2012年 7月 15日 (日)

       

■  〈ジジからの絵手紙〉15 菅森幸一 白衣の勇士

     
   
     

 戦場で傷ついたり、病気になったりした兵隊さんを傷痍軍人と呼んだ。白い傷病衣を着用していたので「白衣の勇士」とも呼び、今の青山町にあった陸軍病院にジジたちもよく慰問に訪れたものだ。

  敗戦と同時にそれぞれの傷痍軍人は家庭や地域社会に復員したが、身体に障害を持つ白衣の勇士にとり、生きていく事は非常に厳しいものがあった。五体満足な若者でさえ就職難の時代であったから大抵は苦しい生活を余儀なくされた。

  いつの頃からか人通りの多い場所に支援を求める白衣の勇士の姿が見えるようになった。軍人傷痍記章を胸に、中には戦場での勲功を誇る金鵄勲章を飾って哀調を帯びた軍歌等を歌ったり演奏したりしていた。少し前まで大日本帝国陸軍を賛美していた多くの国民は、自責の念と共に、深い悲しみと哀れみを感じずにはいられなかった。

  中には「あれは偽者さ、本当の軍人ではないよ」と事もなげに言う人もいたが、ジジはその前を素通りする事ができずにいつも全力疾走で走り抜けていた。だから、お使いを頼まれた商品がめちゃくちゃになる事もしょっちゅうだった。



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