盛岡タイムス Web News 2012年 7月 17日 (火)

       

■  業務革新の思い新天地で 8月から大阪市旭区長の元県職員小川明彦さん

     
   大阪市の旭区長に採用された小川明彦さん。「無駄を取る意識改革が進めば企画、立案などあらゆる部門で意識改革が進む。総人件費だけでなく、全体の行政コストを下げることができる」と力を込める。  
   大阪市の旭区長に採用された小川明彦さん。「無駄を取る意識改革が進めば企画、立案などあらゆる部門で意識改革が進む。総人件費だけでなく、全体の行政コストを下げることができる」と力を込める。
 

 元県労働委員会事務局長の小川明彦さん(60)は大阪市の区長の全国公募で旭区長に採用された。正式な就任は8月1日からだが、既に現地での活動が始まっている。自治体改革を目指す橋下徹市長とも意気投合。地元住民と膝を交えて話し合う日々は発見が多く、刺激的という。

  「今の大阪の改革はトップダウン、外発的動機による。これでは首長が代わったとたん改革はストップしてしまう。内発的動機に支えられた改革に変えなければ」、「会議室の電気だって市民の税金で賄っている。無駄な電気を自ら進んで消すような職員を育てないといけない」。

  区長の最終面接。橋下市長と中田宏前横浜市長を前に、岩手が全国に先駆けて実施した事務管理部門の業務革新「イノベーション」について熱く語った。区長に応募したのは、このイノベーションが「道半ばに終わった」という思いが強かったからだ。

  増田寛也前知事の下、行政システム改革監、人事課長などを務めた小川さんは「トヨタ方式」などに学んだ行政改革の旗振り役だった。270人ほどの事務部門を2年間で70数人に減らし、さらに次の2年間で30人ほどに減らしたトヨタ元町工場を見学、衝撃を受けた。

  模索の末、県の事務管理部門でも決裁過程を簡素化するなど「無駄取り」を実行。春から秋にかけて忙しい研修担当職員と、秋から春にかけて忙しい人事担当職員を1グループにして繁閑調整を試みるなど職員配置のグループ制、フラット化も進めた。結果、約5千人いた県職員は3年間で約4千人まで減った。

  しかし、達増県政となり改革は凍結された。「やらされ感が強い」―。県幹部の一部にも改革のやり方を疑問視する空気があった。この判断が正しかったのか。小川さんの答えは、はっきりしている。「橋や道路、文化会館―。これまで築いた社会資本の再整備にかかる経費を考えても、市民に肥大化した行政組織を支える担税力は残っていない。公務員は全体の奉仕者。改革はやらされるんじゃなくて、やらなきゃいけない」。「業務革新を他の自治体や国にも広げたいというのが人生最後の希望」と新天地での奮闘を誓う。

  旭区は人口約9万2千人。大阪の「下町」といった雰囲気で高齢化も進む。東日本大震災津波の経験者として防災計画の見直しや、教員OB・ボランティアを活用した学童保育の延長などを区長マニフェストに掲げた。だが、最も重視しているのは住民ニーズの把握だ。

  「そもそも、住民の声も聞かないうちからマニフェストを作れという姿勢が駄目。政策形成のために住民の意見要望を聞くというより、住民の声、住民の求めるものが政策になると思考を転換すべき」。3カ月は徹底して住民の声に耳を傾ける覚悟。業務革新の「完成形」を目指す戦いはそこから始まる。

■大阪市の区長全国公募

 行政改革を進める橋下徹大阪市長が全国で初めて実施。1461人の応募者の中から、24区の区長が選ばれた。経営管理能力や情報発信力などを基準に選考。24人中18人が商社やメーカーなどの民間出身。現職区長は6人だった。NHKの元記者や昨秋の大阪市長選に出馬表明し、途中で断念した首長経験者らが選ばれたことでも話題を集めた。区長は副市長に次ぐ、幹部に位置付け、独自予算などの権限を与えるとしている。


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