盛岡タイムス Web News 2012年 7月 19日 (木)

       

■  ILCで1万人の人口増 建設誘致実現へ官民挙げて 県推進協が講演会

     
  講演する吉岡教授  
 
講演する吉岡教授
 

 国際リニアコライダー講演会(主催・県国際リニアコライダー推進協議会)が18日、盛岡市内丸の県民会館で開かれた。約500人が参加し、本県への国際リニアコライダー(ILC)誘致の気運醸成を促した。高エネルギー加速器研究機構の吉岡正和名誉教授が講演し、ヒッグスとみられる粒子発見で、国際リニアコライダーの必要性が一層、高まることを訴えた。国際リニアコライダーは北上山地の岩盤を掘削して建設する物理学の国際研究機関で、世界の候補地の中から2013年以降に建設地を決定する。

  講演会は同協議会が誘致運動の一環として、一般向けに初めて開いた。東北大大学院理学研究科の山本均教授の講演を予定していたが、急きょ来県できなくなり、県政策推進室の大平尚首席ILC推進監が講演した。

  元持会長は「国際リニアコライダーの建設地は強固な安定岩盤に設置する。北上山地が有力な候補地になっている。岩手県では震災からの東北復興のシンボルとして誘致を進めている。世界唯一の国際研究施設になる。リニアコライダーの建設工事発注のみならず、国際研究機関の調達など新たな産業創出で、経済活性化と東北全体への波及効果をもたらす」とあいさつした。

  大平推進監は「東北全体のプロジェクトの中では震災復興の研究開発プロジェクトで岩手ではILCが入っているが、宮城の計画にもILCが入っている」と述べ、「産業との連携には国際研究所とどのように良い関係を作っていくかがポイント。研究施設を開放し、研究成果を知らしめるなど。研究者が講演したりする関係を早く構築できればよい」と誘致運動の方向性を説明した。

  「ILCにより人口がどうなるかシミュレーションすると建設段階では6500人ほど。関連する労働者、技術者が増える。運用関係では1万人ほどを見込んでいる。職員、研究者が3千人ほど、プラス家族は1人1・9人と計算すると1万人の街ができる」と述べた。

  建設費は基本設計国際チームの2007年の試算によると約7700億円で、測定器2個1千億円をプラスすると約8700億円、日本側の負担額は約4800億円と見込まれている。産業連関表を用いて経済効果を試算すると、建設開始から運用までの30年間で約4兆3千億円の生産誘発額、雇用は約25万人が見込まれる。

  吉岡教授はILCに先立つ研究機関として、スイスの欧州合同原子核研究機関による世界最大の素粒子加速器のLHCについて説明した。ヒッグスとみられる粒子の発見により、LHCとリニアコライダーの双方の存在価値が高まるとした。

  吉岡教授は「与謝野馨さんが文部科学大臣時代に138億円出すと言って始まった。この予算は日本からの物納で、全てが100点満点の性能を出した」「日本は驚異的な貢献をしている。品質にむらがないし、納期を守ってくれる。納期を守るのは当たり前と思うかもしれないが、当時はヨーロッパの企業はストライキに悩まされていた。日本企業は競争力が高く、日本の拠出以上の受注を勝ち取った」と述べ、誘致にあたって日本の技術への信頼感を強調した。
 


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