盛岡タイムス Web News 2012年 7月 21日 (土)

       

■ 塩分を電磁探査 津波被災農地へ活用へ 東北農研センター

     
  電磁探査法による農地の塩分濃度測定(東北農業研究センター提供)  
  電磁探査法による農地の塩分濃度測定(東北農業研究センター提供)  

 盛岡市の農研機構・東北農業研究センター(小巻克巳所長)は、電磁探査法を用いて、津波で浸水した農地の塩分濃度を迅速に把握する技術を開発した。東日本大震災津波で、海水をかぶった農地は2万4千fに上っており、復旧作業への活用が期待される。新技術は20日、同センターで開かれた研究成果発表会で報告された。

 津波が浸水した農地は、塩分が土壌に残り、除塩が十分でないと稲の葉先が枯れるなど生育被害が発生する。農業再開には、土に含まれる塩分濃度を的確に測定し、取り除くことが求められる。

  一般的に農地の塩分濃度は、塩素濃度と相関性が高い電気伝導度(EC)の測定によって把握する。通常は、ポイントごとに土を採取して測定するため、農地の一部の濃度しか分からず、時間もかかっていた。

  同センターが開発した「電磁探査法」は、測定器に電流を流して磁場を発生させ、農地に当てて、はね返ってくる磁場の強さで、電気伝導度を計測する方法。スキー板状の装置を担いで農地を歩くだけで値が蓄積され、広範囲のデータが得られる。GPSによる位置情報を組み合わせることにより、塩分の分布状況を地図で示すことも可能という。探査範囲は少なくとも地中の深さ1b程度まで及んでおり、大豆など土壌の下層域の塩濃度の把握が重要になる農地でも、有効な測定方法であることが分かった。

  この日の発表会では、1万数千円程度で市販されている小型の「土壌ECセンサ」で、採取した土の塩分濃度を簡単に把握する方法も紹介された。土壌ECセンサは土壌の密度や水分によって測定値が変動する欠点があるが、湿った土壌をビニール袋に採取し、手で握って圧密しながら測定すると測定値が安定。簡単に塩分濃度を測定することができるという。土壌ECセンサの測定値を0・4倍すると、通常行われている分析法(土と水を1対5の割合で混ぜて電気伝導計で測定)の測定値に読み替えできることも実証した。

  広範囲な電磁探査に用いたスキー板状の装置は約360万円で市販されており、リースも可能。装置で計測した値は、土壌の水分状態などの影響が反映した「見かけの土壌電気伝導度」だが、土壌ECセンサを併用すれば、迅速性を損なわずに正確なデータを得られる。同センターは今後、自治体などに広く情報を提供し、農地の復旧を後押ししたいとしている。

  小巻所長は「地味な研究だが、センターの潜在能力を最も発揮できる分野。日本の食料基地である東北の農地回復に貢献していきたい」と話している。


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