盛岡タイムス Web News 2012年 7月 24日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉153 及川彩子 チーズの醍醐味

     
   
     

 イタリアの食卓に欠かせないのがチーズ。食事前の前菜に、ワインと何種類ものチーズがテーブルに並びます。

  出来立ての柔らかいフレッシュチーズ、何年も熟成させた味わい深いチーズ、青カビ・白カビまたはハーブや香辛料を入れて発酵させたもの、ヤギの乳で作るものなど、種類は数え切れません。

  また季節によって食べ方もさまざま。連日30度を超すこの夏は、純白のモッツァレラチーズが一番。よく冷えたトマトの薄切りと盛り合わせ、バジリコ(青紫蘇)の葉を添えると、国旗と同じ赤白緑のイタリア色です〔写真〕。

  モッツァレラは、南イタリアが本場。濃厚な水牛の乳で作られますが、現在は、脂肪分の少ない牛乳でイタリア全土で作られています。温めた牛乳に、レンネットと呼ばれる子牛の胃の酵素を加えてホロホロに固め、熱湯を加えて練り、餅状態になった熱々をちぎって丸め、塩水に浸して出来上がり。モッツァレラとは、「引きちぎる」という意味です。水に入れて保存するので、豆腐のようです。

  豆腐と同様に、塩気がほとんどないので、オリーブオイルと少々の塩を振りかけて食べる冷たいモッツァレラ。熱すると伸びるので、ピザの具としても使われます。ゆでたてのパスタを絡めても美味。わが家の冷蔵庫にも、夏バテ防止に欠かせません。

  涅槃経(ねはんきょう)に「牛より乳を出し、乳より酪(らく)を出し、酪より生酥(せいそ)を出し、熟酥(じゅくそ)より醍醐(だいご)を出すが如し。醍醐最上にして、もし服者あらば、衆病みな除かる」と書かれているそうです。
『酪』は、乳を煮詰めたもの。その固まりが『酥』。それを熟成させたのがチーズ。最上級の味わいがあり、病から身を守る薬にもなるという意味です。

  まさに「醍醐味」のルーツはチーズにあり。イタリアの人たちが、声を上げて喜びそうな記述です。


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