盛岡タイムス Web News 2012年 8月  10日 (金)

       

■  〈学友たちの手紙〉88 八重嶋勲 小生も今は心のみいそがわ敷き 

 ■121巻紙 明治三十六年二月七日付
宛 東京市麹町區飯田町四丁目三十一番地 日松舘 野村長一様 (書留 至急親展)
発 盛岡市八日町八十三番地 下閉伊郡自炊部 工藤専助

拝啓先日は態々御注意被下難有候、早速御郷里彦部へ向け御依頼之紙面差上候筈、多分ハ兄が手に落ち候事と存じ候、御手紙によれば一月中ならでハ猶豫相成間敷云々の事有之候へしも、当地の市役所等とは此方には別に制度の変りたるもなく、例年之通り三月一日迄願書差出得る事言ひ居候(ハ)バ、免に角斯様の事ハ早く始末を付くる方宜敷と存せられ候、

入学の費用金何程を要するか前便に申上候なれば、御報を実は待上候へ共、免角金は我懐中にはあるを好まざれば、不敢取二円尤便便為替を以て御送上候、猶豫さへ出来るなれば学校なと無論何處にても宜敷候間可成早く願上候、又金の不足ハ御申越次第御郵送可申候、山村校長の話に依れば本年ハ我縣にてハ同文書院行きハ止めと相成候趣に候、又或者然らずと主張するもあれど当局者たる事なれバ山村校長の話誠に有之べく候、何れ確と聞配之上後便ニ申上べく候、右之有無によりて小生も如何相成べくや、小生自身も未だ確としたる胸算無之候、夫れに就けても学校の證明書之事は呉々も願上候、

己に御存じの事と思はれ候、此間中学校には退校になりたるもの一名、依願退校と云ふ格のもの三名有之候、学校或一部ハ精神的に堕落したる様見え申候、然し此ハ今に発したるものならず、所謂外目八目今となりて始めて見ゆるものに有之べく乎、安村君も折角勉強し居らるゝ様に候、小生も今は心のみいそがわ敷き様、先ずこれにて筆を置き申候、
                               専助
    野村長一様

 【解説】徴兵猶予願添付の在学証明書を取寄せの以来の事とその費用何ほどかかるのか問い合わせたが返事がない。取り敢えず二円書留で送る。

  安村省三君(新渡戸稲造の甥)も勉強しているようである、とある。安村省三は、盛岡中学で、長一と同期。東京外語露語科卒、岩手日報から報知新聞に転じた新聞人。長一を報知新聞入社の紹介をした人。





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