盛岡タイムス Web News 2012年 8月 21日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉155 及川彩子 黒猫のタンゴ

     
   
     
  イタリアの童謡に『黒猫が欲しかった』という曲があります。60年代、日本でも大流行した「黒猫のタンゴ」のオリジナル。

  原曲のイタリア語では、「黒猫をくれるって約束したじゃない! 守らなかったから もう遊んであげないよ」という子どもの会話です。

  この曲から、イタリア人は猫好きに思えますが、実際は、犬を飼う人の方が多く、ここ高原の街アジアゴでは、野良猫さえあまり見かけません。

  でも、イタリアの暦に「2月17日は猫の日」とあるように、マニアも少なくはなく、主流は黒猫と聞きます。友人のフランチェスカも、毎日毛並みをそろえ、いずこに行くにも一緒。分身のようなかわいがり様です〔写真〕。

  昨年、ローマの資産家で、94歳の女の飼い主から10億円もの遺産を引き継いだ黒猫が話題になりました。身寄りのないその女主人の暮らしは、猫がすべてだったのです。

  古代エジプトで、猫が重宝されたのは有名な話。穀物を荒らすネズミ退治の猫は、神様として崇められたのです。

  それが中世になると、魔女の使いとして忌み嫌われるようになります。魔女狩りと同様、イタリアでは、年間何万匹もの黒猫が殺されたという記録も残っています。

  中世のヨーロッパに、ペストが大流行したのは、猫狩りで、ネズミが大繁殖したためとも言われます。けれども、イタリアのことわざに猫がよく登場します。

  「犬猿の仲」は『犬猫の仲』。「猫をかぶる」は『死んだ雌猫のふりをする』。「鬼の居ぬ間に洗濯」は『猫の居ぬ間にネズミが騒ぐ』などさまざま。中でも『猫のように7つの精神を持つ』は、如何様にも対処する力がある・逆境を克服する…との意味で、まさに「七転び八起き」です。

  漆黒のエレガントな毛並み、凛々しい視線、性格が大らかと言われる黒猫。静かな愛猫ブームは続きそうです。




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