盛岡タイムス Web News 2012年 9月 1日 (土)

       

■ 国際人新渡戸の志に思い 生誕150年の記念式典盛岡で

     
   生誕150年祭で講演する明石康氏(代表撮影)  
   生誕150年祭で講演する明石康氏(代表撮影)
 

 新渡戸稲造博士生誕150年祭の記念式典は8月31日、高円宮妃殿下のご臨席の下、盛岡市愛戸下の盛岡グランドホテルで開かれた。財団法人新渡戸基金をはじめ、県や盛岡市、大学、経済団体などで組織する実行委員会の主催。150年祭記念作文コンクールの表彰式や元国連事務次長の明石康氏の記念講演などが行われ、高い志を掲げて国際的に活躍した新渡戸博士の偉業をしのんだ。

  記念式典と講演会には約200人が出席した。実行委員会会長の内川頴一郎新渡戸基金理事長は「新渡戸稲造は終生、国際社会の共存共栄を求めて活動した。その言葉の意味を地域においても国際社会においても教訓として胸に刻まなければならない」とあいさつ。

  谷藤裕明盛岡市長は「博士の終焉の地ビクトリア市とは姉妹都市提携して以来、活発な交流を続けている。世界平和に尽くした教育者、新渡戸稲造博士の偉大なる功績を継承し後世へ引き継いでいかなければいけない」と呼び掛けた。

  全国公募した作文コンクールの表彰式が行われ、小学生の部最優秀賞の應家葵さん(岩泉町立浅内小5年)、同優秀賞の渡辺夏七子さん(盛岡市立杜陵小6年)、高校生の部最優秀賞の佐々木啓さん(盛岡四高2年)らに表彰状が贈られた。

  明石氏は、新渡戸博士の生涯の今日的な意義について講演。「新渡戸のように日本の文化を愛しつつも、他の国の文化に対する尊敬の念を失わず、それぞれの文化の良いところを見た上で総合的に判断する視点を失ってはいけない」と述べた。

  「国際人、国際主義者は何よりも日本を思う愛国者でなければいけないと思う。愛国心とは、単なるナショナリズム、自分の国だけが正しいとする政治とは違う。できるだけ互いの国の共通利益を追求する、それを理性的に長期的関係から導くことが求められる」と主張。

  わが国の領土問題についても「知恵をしぼり、いかに外交的、平和的に解決できるか、理性的に求めていくことがわれわれに課された課題ではないか」と問いかけた。

  新渡戸博士は1862年9月1日、盛岡鷹匠小路(現下ノ橋町)で盛岡藩士の三男として誕生。札幌農学校卒業後、米国やドイツで農学、経済学などを修めた。

  札幌農学校教授となるが体調を崩し米カリフォルニア州で療養。その間に日本の伝統的な道徳教育について記した「BUSHIDO THE SOUL OF JAPAN」(武士道)は日本文化の紹介書として各国語に翻訳され高い評価を得た。

  京都帝国大学や東京帝国大学でも教壇に立ち、第一高等学校校長、東京女子大学学長などを歴任。国際連盟の設立時には事務次長に推され、スイスで連盟発展に尽力した。満州事変後も米国各地で講演するなど精力的に活動したが1933年、カナダ・ビクトリア市で客死した。


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