盛岡タイムス Web News 2012年 9月 4日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉156 及川彩子 夏のアジアゴ祭り

     
   
     

 6月に始まったバカンスシーズンも、9月初旬まで。新学期を前に、夏の名残りを惜しむ人々で、避暑地アジアゴの街は、今もにぎわいが続いています。

  にぎわいの中心は8月15日に始まったアジアゴ祭り。聖マリアが、天に召されたことを記念する祝日で、日本ではお盆の中日。興味深いことに、この日は、宣教師フランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸、日本がキリスト教に出会った日でもあるのです。

  この時期、市の観光局も大忙し。中心街は毎日が歩行者天国、街裏にはアンティーク市が立ち並び、アイス・スタジアムではオリンピックのメダリストによるアイスショー、教会では連夜の音楽会と、今夏もさまざまな催し物が続きました。中でも恒例行事は次の3つ。

  1つは、「ノッテ・ネーラ=漆黒の夜」。街中の明かりを消し、市民みんなで夜空を見上げるのです。漆黒の空に、宝石のようにきらめく一面の星。ささいなことを忘れ、心が満たされる思いでした。

  次いで「アジアゴ変奏曲」。アジアゴをテーマにした新曲の音楽発表会で、毎年、国内外の作曲家に依頼して作るのです。現代音楽ですが、さまざまな楽器や奏法を駆使し、それをヨーロッパ一流の演奏家たちが初演するとあって、会場は今年も大入り満員でした。

  今年の作曲家は、アゼルバイジャン出身の女性のアリさん。ピアノに特殊な装置を付け、時計の針の音を出して「時の流れ」のような通奏低音に、チェロが牧歌的な旋律を奏でるという作品でした。

  8月最後の週は、「木彫コンクール」。街の随所に設置されたテントで、世界中から集った彫刻家が、1週間かけ、丸太から作品を生み出すのです〔写真〕。芸術作品が生まれる様子に目を凝らす子どもたち。お気に入りの作家のテントに通う若者たちの姿も見られました。

  バカンスの最後を飾るアジアゴ祭りは、市民みんなの夏の贈り物なのです。



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