盛岡タイムス Web News 2012年 9月 7日 (金)

       

■ 〈大連通信〉43 南部駒蔵 高い房子(ファンツ)

 昔から大連に暮らしている人に言わせると、大連の物価は年々高くなって暮らしにくいという。特に「ファンツ房子(アパート、マンション)」を買うのが大変で自分の家を持ちにくくなっているという。

  中国人は車を買うのでも、マンションを買うのでも、借金をしてローンで払うのでなく金を貯めて一度に払うことが多い。一度に払うといえば、お金持ちに聞こえるが、銀行でお金を貸してくれない、貧しい人に金を貸しても返済してもらえないからである。多くの人が、お金を借りて家を建てる人はそれだけ信用されている、ということである。

  大学の近くに「寿司 富山」と看板を出してお寿司を売っている小さなお店がある。そこに食べに行って話をしているうちにご主人も来た。奥さんは一人きりの店で忙しいから、その主人の奥さんと親しく話をした。

  彼の話では、奥さんは日本の富山県に3年間出稼ぎに行って、昼は食品会社の仕事、夜はホテルの従業員として働き、お金を貯めた。3年の間、中国に帰ったのは、ご主人が肝炎になった時の一週間だけ。後は「ケチに」(奥さんはその言葉を使った)徹して金を貯めた。苦労して貯めたそのお金でファンツを買うことができた。2004年に買ったそのファンツは16万元だった。ところが今では50万元のお金がないと買えないという。

  奥さんは帰国してから、富山で覚えた寿司の作り方を生かしてその小さな店を一人で営んでいる。それは食堂の前にさらに一坪ほどくっつけた、間借りのようなお店で、私は合わせて一軒のお店だと思っていたのでびっくりしてしまった。

  奥さんは楽器のドラムが好きで、子どもたちに教えるのが彼の仕事である。しかし、音楽学校に行って働く時間は週3日にもならない。つまり家を買うのも、生活するのも、奥さんの力による。奥さんは二重まぶたのくっきりした、美しいしっかり者の妻の働きに感謝している。彼らの一人娘は遼寧師範大学で美術を学んでいる。

  日本に出稼ぎに行き 金貯めて 家を買ひたる妻の働き
      (元岩手医大教授)


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