盛岡タイムス Web News 2012年 9月 9日 (日)

       

■ 〈ジジからの絵手紙〉19 菅森幸一 ソフトボール

     
   
     

 「アメリカが西瓜見たいな球で野球やっているずジェ!」といううわさで、進駐軍がグラウンド代わりにしていた今のサンビルの辺りの空き地へ見に行った。その日も彼等は上半身裸で、見た事もない大きなボールで野球をやっていた。後でソフトボールと分かるのだが、そのでかいボールを外野まで吹っ飛ばすパワーは半端じゃなかった。彼らの体格は痩せて干からびて復員して来た日本の兵隊さんとは雲泥の差、血色が良く筋肉隆々、まるでポパイか赤鬼のように見え、戦争に負けたのも当然と妙に納得した。

  無造作に投げ出されたグローブやミットの山に目が止まった。ズックのあまり布で母さんが苦心して作ってくれたのとはケタが違う。あちこちに転がったボールをそのままに、次々と新品のボールが箱の中から取り出される。雑巾を丸めてひもで縛ったボールにしか縁のないわれわれにはヨダレが出そうな光景だった。

  あぜんとしたのは将校も兵隊も一緒にプレーを楽しみ、お互いを平気で冷やかしたりやじったりしていることだった。厳しい日本の軍隊のことしか知らないジジたちにとって面食らうことばかりだった。



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