盛岡タイムス Web News 2012年 9月 20日 (木)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉316 八木淳一郎 やぎ座に目を向けよう

 例年なら、涼しい、というより肌寒い風が吹いてもよさそうな時期ですが、この蒸し暑さは一体どうしたこと。それこそどういう風の吹き回しでしょう。一部で懸念される小氷河期の到来ですが、もしこれが現実となれば、この暑さは懐かしくいとしい思い出の一つとなりましょう。

  最近の天文学の知見によれば、気候の大変動は地球が銀河系の中を巡ることによってもたらされるのだとか。こうしている間に銀河系のあちこちで超新星の出現、つまり巨大な星の最期の大爆発が起こっていて、これが宇宙空間に電気を帯びた粒子を放出していると言われます。

  銀河宇宙線と呼ばれるこの粒子が太陽系にもいっぱい飛び込んできます。太陽が活発に活動している時は、太陽から出る磁力線がこれを防いでくれているのですが、太陽の活動が静まりかえっていると、もろに地球に降り注いでしまう銀河宇宙線。これが大気中にたくさんの雲を作りだし、太陽の光と熱を遮断してしまう。やがて地球は冷え、小氷河期が訪れる―という心配があるのです。

  太陽の活動には11年の周期がみられていますが、それが乱れたことがかつてありました。そしてここ数年も、それこそ雲行きが怪しい様子です。雲をつかむような話ですが…。

  さて、ちょっぴり涼しいそよ風に吹かれながら、星空に目を向けてみましょう。

  夏と秋の境目にある星座の一つにやぎ座があります。南の空低く、しかも目立つ明るい星がないので街中で見つけるのは至難の技。その割には太陽の通り道にあたる黄道12星座の一つなので星占いにも登場し、見たことはなくても名前は知られています。

  逆三角形をしたやぎ座の中はさらに星が少なく、ぽっかりと夜空に空間ができたようになっています。そこで古代の人々は、ここが亡くなった人が天国へ行く入り口だと考えました。

  やぎ座にちなんだギリシャ神話はちょっぴり愉快なものです。ある日、ギリシャの神々が集まって宴会を開いていたときのこと。あの、台風(英語のタイフーン)の語源にもなっている、乱暴者の怪物ティフォーンが宴会の場に暴れ込んできました。神々は大慌てで、さまざまな動物に姿を変えて逃げたのです。牧神パーンはヤギの姿に変えたまでは良かったのですが、慌てて川に飛び込み、今度は魚に化けようとしました。けれどもパニックに陥り、上半身はヤギ、下半身が魚というなんともユーモラスな姿になってしまいました。

  これを見た神々が面白がって天に上げ、星座にしてしまったという訳です。

  さて、ここにもまた、言葉のいわれの一つが登場しました。おわかりの方もおいででしょう。パーンという名前こそ「パニック」の語源なのです。
  (盛岡天文同好会会員)


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします