盛岡タイムス Web News 2012年 9月 27日 (木)

       

■ 県内経済に「領土」の影 尖閣問題 訪中、宿泊のキャンセルも

     
  尖閣など領土問題の関連書籍を並べたコーナー  
 
尖閣など領土問題の関連書籍を並べたコーナー
 

 日本政府の尖閣諸島国有化に対する中国の反発の影響が、県内の経済界に及んでいる。中国の大連市中国国際貿易促進協会が10月中旬に予定していた商談会が延期され、県内企業が参加できなくなった。農協観光が11月に予定していたいわて花巻空港と中国西安のチャーター便は取りやめになり、県内のホテルに中国の旅行客のキャンセルが出ている。盛岡市内の書店では領土問題のコーナーを設け、関連書籍が売れ行きを見せている。

  盛岡市大通2丁目のさわや書店では、売り場に「領土問題」「尖閣諸島」などのカードを付けたコーナーを設け、新書版を中心に並べている。大池隆店長は「何か起こると反応があるし、読者の知りたいというニーズに応えている」と話す。

  中国で延期された大連市の商談会は10月18、19日の予定で、県内から7社が参加する予定だった。県産業経済交流課の大坊哲央海外マーケット担当課長は「諸般の事情によるということだったが、大規模な商談会だったので、今後いつ開けるかは分からない。参加企業はやはりという受け止め方だった」と話す。反日デモの状況が報じられ、県内企業も不安を募らせていた。

  農協観光は11月2日から6日まで中国東方航空のチャーター便で、中国旅行を募集していたが、反日デモの影響を考慮して中止した。既に約80人が申し込み、150人ほどの参加を見込んでいた。農協観光岩手支店の成田学副支店長は「最後の追い込みをかけようとしていたのに残念。お客様の安全を第一に考えた」と話す。

  県内への中国からの観光客の入り込みについて、県観光課の戸舘弘幸総括課長は「一部の宿泊施設で若干のキャンセルが出ていて、これまで中国の観光客を受け入れてきたところには影響が出ているようだ。県内への中国の観光客はまだ発展途上にあり、被災3県に1泊することを条件にした数次ビザで、多く招こうとしていた矢先だった」と話す。

  県内の大手ホテルの担当者は「どのくらいの規模のキャンセルを指して影響があると言うのかは分からないが、中国の観光客のキャンセルはあった。ただそれが尖閣の問題によるものかどうかは特定できない」と話していた。

  ジェトロ盛岡貿易情報センターによるとこれまで中国に進出している県内企業は26社。うち盛岡市2社、八幡平市1社、滝沢村2社で、北上市、奥州市など県南の企業が多い。業種別には電気・電子機器、機械製品など製造業の割合が高い。現地法人が大半を占め、駐在員事務所、業務・技術提携などの形での進出もある。

  同センターの林道郎所長は「通関手続きに時間がかかるようになったとか、細かいところでの影響は出ているのだろうが、これまでのところ県内企業に影響があったという話は聞いていない」と話し、今後の状況を注視している。

  県内に留学している中国人学生の生活や、岩手大学などと交流している中国の大学には尖閣問題の影響は及んでいないという。

  岩手大学の研究交流部国際課の上杉明課長は「大学が休み中だったので、学生たちに影響があったという話は聞いていない。広い中国全体を把握することはできないが、交流している大学と連絡を取って状況を聞くと、学内は反日的ではないという」と話していた。


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