盛岡タイムス Web News 2012年 9月 29日 (土)

       

■ 震災津波での活動記録 後世に伝える1冊に 県歯科医師会が報告書

     
  報告書を手にする県歯科医師会の大黒専務理事(右)と三善常務理事  
   報告書を手にする県歯科医師会の大黒専務理事(右)と三善常務理事
 

 県歯科医師会(箱崎守男会長)は東日本大震災津波直後からの対応などを収録した報告書「2011・3・11東日本大震災と地域歯科医療」(A4判カラー、約250n)をまとめた。発災翌日に県警と協力して遺体の身元確認作業で会員を沿岸被災地に派遣。避難所や仮設住宅での口腔ケアなど歯科医療対策の体制や対応などを時系列で記録。今後、他地域でも起こりうる大規模災害に向け、地域歯科医療のあり方を後生に伝える1冊となっている。

  報告書は、震災津波の被害全般を伝え▽歯科医療施設の被災状況▽県歯科医師会の活動▽県各地区歯科医師会の対応▽日本歯科医師会・日本歯科医師連盟などの協力▽資料集│などで構成。

  県歯科医師会の活動では、被災から3カ月間の対応、身元確認(検死や照合など)、感染症予防を見据えた避難所対策(口腔ケア)、被災会員の状況把握や仮設歯科診療所開設などについて紹介。それぞれについて昨年12月に開いた座談会を収録し、課題などを浮き彫りにしている。

  同会は発災の翌12日に災害対策本部を設置。同日初会合を開いた。本部は身元確認、避難所、歯科医療、被災会員の4対策班を編成し、対応に当たった。会員は5人が死亡。診療所の全壊40件、大規模半壊10件、一部損壊37件などの被害もあった。

  身元確認は岩手医大法医学講座、同大歯学部などと協力。12日には被災5地区へ会員8人が派遣された。同会は県警と6年前から検死の合同訓練を実施するなど連携体制を確認していた。活動全般で県との連携も確立されていたという。

  今年8月15日現在の歯科所見採取数は2690人、歯形から身元確認できたのは1200人を超えた。出動した歯科医師は延べ871人(うち会員385人)に上る。

  同会の大黒英貴専務理事と三善潤常務理事(広報担当)は27日県庁を訪れ、報告書概要や検証結果などについて説明した。

  大黒専務は「県外からの支援窓口を日本歯科医師会に一本化し、支援者の派遣先などを把握できた。宮城県ではすべて現地対応だったと聞いた。現場の混乱はあったものの系統的に対応できた」と振り返る。

  三善常務は阪神・淡路大震災や中越地震など過去の災害対応をまとめた報告書が役立ったという。「震災関連死の原因として、口腔ケアが重要だった教訓を生かしてポスターなどを掲示し、肺炎防止などの取り組みができた」と語る。阪神や中越では津波被害がなく、カルテの流出がなかった点など、今回の震災との違いも指摘している。

  報告書は7月に1200部印刷され、会員のほか日本歯科医師会や都道府県歯科医師会に配布された。残部がわずかなため今後増刷の予定。盛岡市盛岡駅西通のアイーナ内・県立図書館にも3冊寄贈されており、市民も閲覧できる。


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