盛岡タイムス Web News 2012年 10月 2日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉158 及川彩子 金の輝きは神の光り

     
   
     

 親戚付き合いしているパガニン家のアンナピアに、双子の孫が生まれたので、さっそくお祝いに駆け付けました。2人とも女の子で、名前は「ジャーダ」と「ソフィア」。

  祝いの品は、名前を刻んだ金のブレスレット。こちらでは、体の穴から入り込む悪魔除けの風習から、生まれたばかりの女の子にピアスをしますが、アンナピアの希望で、ブレスレットを選んだのです。

  イタリアの貴金属店で売られている製品のほとんどが24金。一日の24時間を単位にしたといわれ、24金は純度100%。2人の腕に付けるのはまだ先ですが、真っ白な天使のような腕に、まさに黄金の輝きです。

  ヨーロッパの中でも、貴金属好きで知られるイタリア人。イタリア観光のメッカ、フィレンツェのヴェッキオ橋上の両側に軒を連ねる貴金属店街は特に有名です。

  古代ローマからの歴史を誇る貴金属加工ですが、現在の貴金属産業の中心地は、私の住むアジアゴ近郊の古都ヴィチンザ。レース編みのような繊細な透かし彫りや、飴細工のように紡ぐ職人技は、世界一と言われます。

  貴金属や装飾品にあまり興味のない私ですが、ヨーロッパの各国を巡るうちに、単なる装飾品ではなく、精神的な財産の一部であることを知りました。

  このことは、発展途上にある中東諸国の人々も同じようで、どの街にも金属店が軒を並べているのです〔写真〕。黄金に輝くショーウインドーに圧倒されながらも、その光景には、「美」より「生」への執着を感じずにはいられません。
「金は、小さく分割でき、隠し持ちやすい最高の富。それは自己防衛の中で育った民族の価値観である」とは、近代ブルジョア史学者の言葉です。

  同時に「神は光なり」。宵闇(よいやみ)でも光り輝く金。その光こそが命の始まり…とした昔からの精神的支えでもあるのです。


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