盛岡タイムス Web News 2012年 10月 18日 (木)

       

■ ストレスと脳障害の関連 分子メカニズム解明 岩手医大が世界初 治療法開発や創薬への応用期待

     
  研究成果を語る岩手医大医歯薬総研の祖父江所長  
 
研究成果を語る岩手医大医歯薬総研の祖父江所長
 

 岩手医大医歯薬総合研究所の祖父江憲治所長は17日、ストレスによって神経細胞の間で情報を伝えるシナプスの形成が妨げられる分子メカニズムを発表した。今回解明した分子メカニズムは世界初の報告となる。研究結果を示した論文は、神経科学の学術雑誌「The Journal of Neuroscience」電子版に掲載される。祖父江所長は「ストレスに起因する精神疾患発症のメカニズム解明につながる成果。治療法開発や創薬への応用が期待される」と語った。

  祖父江所長ら研究チームは、細胞の骨組みとして機能する「アクチンフィラメント」の安定性を制御するタンパク質「カルデスモン」と、ストレスに曝(さら)された時に副腎から分泌されるストレスホルモン「グルココルチコイド」に着目した。神経細胞内においてカルデスモンがアクチンフィラメントを安定化することでシナプス形成を促進していることを明らかにした。さらにグルココルチコイドが細胞内のカルデスモンの存在量を減少させ、それに伴ってアクチンフィラメントが不安定化、シナプス形成が妨げられるという一連のメカニズムを解明した。

  うつ病や外傷後ストレス障害(PTSD)などの感情障害とストレスとの関連は知られているが、これまでその分子メカニズムは不明だった。祖父江所長らはストレスとシナプスの形成障害に注目して5年ほど前から研究に着手。詳細な解析のために従来のグルココルチコイドが含まれた培養液ではなく、グルココルチコイドを一切含まない培養液を開発して研究を進め、今回の発見につなげた。

  研究に携わった同研究所神経科学部門の真柳平講師は「生命現象を理解するために真摯(しんし)に取り組んだ結果だと思う」と話す。医学部神経精神科学講座の福本健太郎助教は「臨床の実態とそれを見据えた基礎研究の成果として今回の成果があると思う」と思いを語った。

  感情障害をはじめとするストレスを引き金とした精神疾患の発症メカニズムの解明と治療法の開発につながることが期待される。


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