盛岡タイムス Web News 2012年 10月 20日 (土)

       

■ 春先の天気に波状雲が影響 盛岡地方 晴天時に雨や雪が多いのは 名越岩手大教授ら研究

     
  盛岡の天気と波状雲の関わりを突き止めた名越利幸教授  
  盛岡の天気と波状雲の関わりを突き止めた名越利幸教授
 

 盛岡で春先などに晴天時に雨や雪が降ることが多いメカニズムについて岩手大学教育学部理科教育科の名越利幸教授(56)は、奥羽山脈を越えた気流により一定間隔で雲が発生する波状雲の影響であることを突き止めた。研究のきっかけは、5年前に盛岡に転勤してきた際に感じた「なぜ盛岡の人は雨でも傘を差さない人が多いのか」という、ささいな疑問だった。この地域では春先には長時間降雨が続くことが少なく、そこには北西の季節風に絡んだ現象が関係しているのではと考えた。

  2011年に名越教授は、研究室の学生とともに1年間、岩手大学に設置された学校気象台のライブカメラ映像で空の様子を調査した。その結果、奥羽山脈上空、雫石町上空、盛岡市上空で南北に伸びる雲の存在を確認。出現頻度は、西よりの季節風が吹く冬場に多く、夏場には少ないことが分かった。

  一般的に雲は、水蒸気が気温が下がることで水滴になり、光の散乱で白く可視化できるようになる。盛岡や雫石周辺では、秋田県側からの季節風によって運ばれた湿度を含む空気が、奥羽山脈を越えて下降気流となり晴天域を作る。下降した空気は地上付近で再び上昇に転じ、凝結高度の1200bまで上って雲ができやすい状態となる。その後も下降と上昇を繰り返す回転気流により、帯状のローター雲が一定の間隔で発生し、「川」の字のような波状雲ができる。

  名越教授は、名古屋大学の装置を使った数値シミュレーションなどの結果、ライブカメラで雲が確認された奥羽山脈上空、雫石町上空、盛岡市上空は、ローター雲ができやすい凝結高度に空気が達しやすい地点となることを突き止めた。

  通常、雨を降らせるのは低気圧の前線に伴う雲だが、ローター雲は大雨を降らすほどの雲ではない。それでもローター雲ができる際の条件によっては一時的に雨や雪が降るため、盛岡などでは春先や初冬ににわか雨やにわか雪が多くなる。名越教授が感じた盛岡では雨でも傘を差さない人が多いのは、長年の経験値から市民が雨がすぐ上がることを知っているからではないかとの結論を導いた。

  市民から話を聞く中で「国道46号を走っていると46号沿いに天気が変わる」「盛岡は東西に天気が変わる」という意見があることも知った。これも一定間隔でローター雲ができることが、晴天域とにわか雨などが起きやすい地域を交互に発生させていることで説明が付くという。

  名越教授は「波を打つ波状雲がこれだけきれいに出るのが、盛岡の特徴。ほぼ、46号線に垂直な方向に沿って天気が変わるということも、奥羽山脈越えの波状雲の影響だということがはっきりつかめた。ぜひ、盛岡や雫石の人にも雲を意識して見てもらいたい」と話す。



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