盛岡タイムス Web News 2012年 10月 23日 (火)

       

■ 〈詩人のポスト〉 蟹澤小陽子 喫茶店

 

一つ挫折して 一つ喜んで
久しぶりに訪れた私を
静かな佇まいは 穏やかに歓迎してくれた
当時の私の いつもの席に座る
コートを脱いだ 傍らに置けば寄ってくる
生後八か月だった看板犬 今や三歳の男盛り
犬は犬好きの人がわかるんだって
「あのときこんな小さかったのになぁ〜」
なんて言って撫でたって、私はただの犬好きの人
お店の奥さんは明るくて元気で
看板犬の名前を知っている私に少し驚いていた
私は奥さんの笑顔を知っているけれど
奥さんにとって私はただのお客
斜にまっすぐ差し込む夕日とか
ほの甘いミルクティーとか 口直しの自家製浅漬けとか
看板犬の人懐っこさとか 奥さんの優しさとか
全部昔のままで
ただ嬉しかっただけ



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