盛岡タイムス Web News 2012年 10月 24日 (水)

       

■ 原発事故の損害賠償 岩手の観光業も可能に 東京電力招き県が説明会

     
  説明会で東京電力の東北補償相談センターの職員に質問する出席者  
  説明会で東京電力の東北補償相談センターの職員に質問する出席者
 

 風評被害による減収など福島第一原発の事故に伴う観光業の損害賠償が23日から、本県を含む東北5県で請求可能になった。県主催の原発放射線による観光関係被害の損害賠償等にかかる説明会が同日、盛岡市内で行われた。市町村や観光協会、商工・観光団体の関係者ら約40人が出席。東京電力の東北補償相談センター(小松日出夫所長)が、賠償額の算定方法や対象など賠償の概要を説明した。

  賠償の対象は、東北5県に事業所がある主に観光客を対象として営業を行っている法人または個人事業主。事業例としては▽ホテル、旅館などの宿泊関連産業▽レジャー施設、旅客船などの観光産業▽バス、タクシーなどの交通産業▽文化・社会教育施設▽観光地における飲食業や小売業―など。請求期間は2011年3月11日から12年2月29日まで。

  賠償額は、対象事業所の「基準年(震災以前の直近の年)の売上高」に「利益率」、「売上減少率から原発事故以外の要因による売上減少率を除いたもの」を掛け、さらに観光庁の統計データから設定した東北地方以外から東北5県に来訪する割合の0・5を掛けることで算定される。利益率は、中小企業では業種ごとに異なる平均利益率を適用する。

  東京電力では、賠償金の請求書を受領後、約3週間の確認期間を経て支払予定額と合意書を送付。請求者が支払予定額などに納得して記名、押印すれば、約2週間の支払手続きの後で賠償金が支払われる。請求から支払いまでは最短で約1カ月ほどを予定する。

  今回の賠償請求は、算定方法などを類型化することで賠償額の支払いにかかる時間を短縮させた。東京電力側は算定方法などに納得がいかない場合や風評被害の証明が難しい場合は、裁判外紛争解決手続(ADR)を利用した損害賠償請求などの方法にも応じる考えがあると説明した。

  説明会では冒頭、小松所長が「弊社の原子力発電所の事故により、本当に多くの皆さんにご迷惑、ご心配をおかけしている。この場を借りて、改めておわびする」と陳謝。質疑応答では、小規模の飲食店や土産品店などで東北地方以外からの観光客との取り引きを証明するのが難しい場合の対応などについて出席者から質問があった。

  県南の自治体からは、平泉の世界遺産登録で観光客は増加したが、風評被害がなければさらに誘客が予想できたことから今回の損害賠償の対象にならないか、などの意見が出された。

  県観光協会の千葉徳郎観光振興部長は「機械的ではあるが補償が認めてもらえたことについては、岩手の観光業者にとっては大変良かった。今回は一応、12年2月末までと期間が定まっている。ただ、放射能に対して観光に来る方がまだ気にされている。その部分も考慮し、ここで打ち切らず、もう少し見てもらえれば観光業にとってはありがたい」と継続した賠償を望んだ。

  八幡平市産業部商工観光課の小山田巧課長補佐は「飛行機で来る方々が花巻空港は使えたのに来なくなったのは、地震もあるが主として原発の風評被害が濃いのではと思っていた。類型化されて請求が手続き的に簡便になったので、対象者が相当救われる。観光協会や商工会を含め、関係者で一度協議をして対象となる方を全て取り漏らさないように知らせていきたい」と話した。


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