盛岡タイムス Web News 2012年 10月 30日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉160 及川彩子 キノコのお刺身

     
   
     

 日ごとに秋深まるアスプス高原は、キノコ狩りシーズンたけなわ。早朝から、森へ行く車がビュンビュン国道を走ります。天気の良い午後など、曜日を問わず、家族連れでキノコ狩りに出掛ける姿も見かけられます。

  キノコ狩りには、選別の知識、森歩きのノウハウが必要ですが、気軽な森林浴としても楽しめます。ここアジアゴでは、自然保護のため、収穫できる量は一人で1日2`。それ以上採るには、役所の許可証が必要です。

  また、胞子が土に返るよう籠の使用が義務付けられています。森を見回る警備隊に違反が見つかると罰金です。

  今月はわが家でも、近所の家族と一緒に、毎日のように近くの森へ。その日も、特大ポルチーニと千本足のようなキオディーニ〔写真〕が、1時間程で籠いっぱいになりました。

  キオディーニは「長い釘」の意味で、日本名は「ナラタケ」。当たり年の今秋は、パスタやリゾットの具として大モテです。

  この周辺の草原型と呼ばれるキノコは、マッシュルーム・トリュフ・ポルチーニ・シメジなど。中でも、キノコの王様は「ポルチーニ」。形が良く鮮度の高いポルチーニは、生食もできます。 

  薄切りポルチーニに、一番搾りのオリーブ油、レモン汁、すり下ろしたチーズを豪快に掛ければ「ポルチーニのお刺身」。シコシコとした歯ざわり、特有の風味が口いっぱいに広がり、白ワインの友として、極上の前菜です。

  古代エジプトのファラオ王の好物は野生マッシュルーム。古代ローマでは神様の贈り物とあがめられ、ローマ帝国の暴君ネロ皇帝の母は、息子を皇位に就けるため、先代の毒殺に毒キノコを使ったとか。

  昔から「キノコ料理には、こはく製のナイフと銀の皿」「キノコの後は梨を食べろ」「酢が毒を制する」などの迷信や「キノコと名乗ったからには籠に入れ」ということわざもあります。

  しばらくはキノコ三昧が続きそうです。


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