盛岡タイムス Web News 2012年 11月 4日 (日)

       

■ MRI情報の解析迅速に 高精度検診、研究へ効果期待 岩手医大とNTT2社 開発実証事業を開始

     
  岩手医大でクラウドとMRIの連携アプリケーション開発を統括する岩手医大超高磁場先端MRI研究センターの佐々木センター長  
   岩手医大でクラウドとMRIの連携アプリケーション開発を統括する岩手医大超高磁場先端MRI研究センターの佐々木センター長
 
  岩手医大、NTTデータ、NTTデータ経営研究所は3者連携で、「次世代医用クラウドシステムによる脳卒中に関する統合診断支援プラットフォームの構築」に関する開発・実証プロジェクトを始める。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けて実施するもの。将来的には、核磁気共鳴画像法(MRI)で得た画像をクラウド上の最新機能(アプリケーション)で解析し、短時間で効率的に高精度な検診、研究ができると期待される。

  プラットフォームは高機能解析アプリケーションを、ネットワークにつながった病院などが共有するイメージ。各施設で撮影したMRI画像をクラウド上の解析アプリケーションに送信し、クラウド上のアプリケーションが各種処理を行い送信元の施設に返信する。各施設では解析された画像や各種データをもとに、研究や治療を実施する。

  岩手医大では、脳卒中領域におけるコンピューター診断支援サービスを構築するアプリケーション部門を担当。画像処理や情報解析などをコンピューターで自動的に行い、MRI画像による判定、診療、研究を支援する。

  岩手医大で同プロジェクトを担当する医歯薬総合研究所超高磁場先端MRI研究センターの佐々木真理センター長(52)は「日本には約6千台のMRIがあり、脳ドックなどハード面は世界的に見ても充実している。しかし、それぞれが独立して稼働している上、解析ソフトも最新のものを使っているとは限らない。解析には時間も手間もかかる。このプラットフォームができれば、より早く、より簡単に、より正確に脳卒中などの予防が図れる」と語る。

  岩手医大で解決すべき技術的課題は▽既存のソフトウエアの取捨選択▽特定の疾患ではなく脳全体を包括できるソフトウエアの開発▽医師が経験で判断していた画像データを客観的、数値的に解析するシステム構築│の3点。ソフトウエア開発は他大学や企業と連携して進める。

  医療情報とクラウドを組み合わせる場合、高度な個人情報である医療情報の匿名性確保が最大の課題。この問題は情報送信時に自動で匿名化する機能を設け、データをネットワーク上に保存しないことで解消する。

  同プロジェクトはNEDOの「IT融合による新社会システムの開発実証プロジェクト」の「ヘルスケア分野における新たな産業エコシステムの創出時係る実証・研究」の一環として採択された。インフラ整備と全体統括をNTTデータが担当。ビジネスモデルとしての評価などをNTTデータ経営研究所が実施する。今回採択されたのは2014年2月末までの2年間で、結果次第でその後3年間の実証研究につなげる。

  佐々木センター長によると、被介護者のうち脳卒中患者の割合が高く、予防することができれば患者、介護する患者家族の負担を減らすことができるという。現時点では検診や研究分野のみの利用に限定して開発を進めるが、「将来的には薬剤分野にも研究を進め、日常の検診、研究に役立てたい」と話している。

  【クラウド】クラウド・コンピューティングの略。ネットワーク、特にインターネットを基礎としたコンピューターの利用形態。ネットワーク上のアプリケーションなどを個々のコンピューターからアクセスして活用する形態を指す。

 

 


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