盛岡タイムス Web News 2012年 11月 5日 (月)

       

■ 〈幸遊記〉96 照井顕 伊東美砂代のブナの森絵画

 今年の夏、店に兵庫から来たご夫妻。話を聞くと二人は全国のブナの森を訪ね歩き、その生命力に満ちたブナの巨木をご主人は写真に撮り、奥さんはスケッチし、帰ってからそれをもとに、二人三脚で油絵に仕上げるのだと言う。

  その時持参していた美術屋百兵衛のアート雑誌を見せられたら、「ブナから得た感動を作品を通して観る者に伝えたい」と言う、画家・伊東美砂代さん(51)の作品が8ページにわたって特集されていた。ブナの巨木のたくましい根元、深い蒼色空に登って行く幹と枝、山の水源木とされるブナの様々な木姿が描かれていた。その時ふと!ブナと言えば菊池如水さん!と頭に彼の絵が浮かぶ。

  「丁度今、紫波の“名曲喫茶これくしょん”で如水さんの、[90才の卒寿展]が開かれています!」と、伝えたら何と二人は観に来て、如水さんと意気投合!流れる音楽にも興味を示すことから、聞けば美砂代さんは、何と大坂の相愛女子音大の作曲科音楽学を専攻し卒業していた人でした。

  ブナの森を歩き出した頃は水彩。油絵は約10年と言うが、ミレー友好協会のフランス本部展に初出品した「ブナの森・睡蓮と語る」で奨励賞。その後、協会賞。ヴァンセンヌ市長賞。優秀芸術家賞など受賞し、ヴァンセンヌ支庁舎に飾られた。そして仏国が主催する伝統の公募展「ル・サロン」でも2011年12年と連続入選。

  更には今年2月、東京上野の森美術館で開催された第17回「日本の美術・全国選抜作家展」に初出品した「ブナの森早春の妖精」は、いきなり大賞を受賞し、その副賞が、パリでの個展というおまけ付きの夢の様な物語。しかも美沙代さんにとっては、初めての個展だった。

  そこで思い出したのが如水さんの1996年の話。宇都宮での個展の時、当時、芸大の教授だった、あの日本画の大家・故・平山郁夫氏が会場に来て、如水さんの作品に驚き14分間も会場入り口に立ちつくし、そして「芸大の学生たちに絵の話をして欲しい」と頼まれ、翌日講演して来たとの話、美砂代さんの話が、今回(10月)の再会時に僕の頭の中で重なった。
(開運橋ジョニー店主)


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