盛岡タイムス Web News 2012年 11月 9日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉123 草野悟 悠々亭の熊の手

     
   
     

 今年は猛暑のためか、山頂の木の芽などが少なく、熊がふもとまで下りてくる目撃が増えています。猟友会などの出動が増え、運の悪い熊さんが処分されたりしています。何も悪いことをしているのではなくても、危険に変わりなく仕方がないことかもしれません。

  と殊勝なことを言っておりますが、写真の2本の爪は、月の輪熊の手です。5本のうち3本は友人たちが恐る恐る食べてしまい、写真を撮ろうと思った時にはすでに2本でした。「こんな爪でやられたらひとたまりもないね」とか言いながら、しっかりと食べていました。

  三陸鉄道の宮古駅から北へ向かい、4駅目に「佐羽根駅」があります。ホームから徒歩1分、素朴な日本の原風景のような部落に、趣たっぷりの風情ある館、「悠々亭」があります。店主の中澤さん、食材はすべて野や川で取ってきます。仲むつまじい夫婦が予約に合わせて準備してくれます。今度は何が出るのだろうと、いつも胸ワクワクです。

  自給率百パーセント、熊や鹿なども自分で仕留めてきます。料理は、すぐそばで釣ったヤマメの酢漬けやエゾ鹿のルイベ、熊汁、月見草のおひたし、卵たっぷりの落ちアユなど多彩です。今回は特別に、高価な熊の手を振る舞っていただきました。何日も煮込んだ手は、ほろりと骨から外れ、コラーゲンたっぷりの肉汁が口中に広がります。目まいがするほどの美味です。「かわいそうに」「うまい」の繰り返しで、口の周りはベトベトです。

  鉄瓶で沸かした湧き水で焼酎を割り、採れたての珍しいキノコや鹿の肝臓(レバー)などを口に運び、秋の夜長をたっぷり楽しみました。体力増強間違いなしと言いたいのですが、翌朝は二日酔いで仕事にならず。美味も考えものです。でもおいしかったあ!
(岩手県中核観光コーディネーター)


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