盛岡タイムス Web News 2012年 11月 13日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉 金野清人 古里の町



がれきの山をたどると
そこにも古里の町があった

ボランティアの慈愛を待ちわびる
色を失った高田の町

漁船をさらわれた浜人が
生業を求めて沖を見詰める広田の町

北限のお茶畑を守る人々が
セシウムを払い除ける米崎の町

消えた大船渡線の踏切で立ち止まると
そこにも古里の町があった

大船渡の仮校舎へバスで通う
高田の高校生たちのつぶやき

狭苦しい仮設住宅で
命を縮めて生きる被災者のうめき声

「心のケアセンター」のカウンセラーに
「まだ働けるから、がんばらないと…」と
か細く語る老女の強がり

消え去った墓地にたたずんで
遺族のすすり泣きに
耳を澄ますと

そこにも
不幸せのかくされている
寄る辺ない古里の町があった

どこもかしこも
先の見えない
哀しい古里の町があった



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