盛岡タイムス Web News 2012年 12月 12日 (水)

       

■  〈日々つれづれ〉151 三浦勲夫 選挙以後

 16日の投開票を前に早くも選挙後の各党得票数、当選議員数が推定されている。6日現在では、どうやら自民党が衆院単独過半数を得る勢いである。自民党は慢心を引き締めるのに躍起なほどである。民主党は離党者が多数出た上、3年前のマニフェストと現実政治とのかい離のため、有権者の支持をかなり失った。残った議員たちが真の民主党らしさを試される状況になったともいえる。

  新たな内閣は自民党を中心としていくつかの政党が連立して作る可能性がある。しかしここでも現実政治とマニフェストとのかい離があれば国民から強く非難されることになる。特にこれからの政治は内外の重大な課題山積である。国内情勢を向上させ、国際情勢には賢明に対処しなければならない。

  対外的には、ことにも北朝鮮と中国である。北朝鮮は事実上の長距離弾道弾ミサイルを10日から22日の間に打ち上げると予告した。しかし冬期間の打ち上げは機械凍結などの難条件があり成功は困難との見方もある。10日の打ち上げは延期された。国民が飢餓にあえいでいることは国際的にも認知された事実である。国民1年分の食費に当たる数百億円を投じるミサイル発射である。国民の政治不満を武力誇示でそらし、抑えようとする政策だ。不気味なその政策の今後には日本も世界も注目し、警戒しなければならない。

  次に中国である。大発展を遂げたその経済も発展速度が落ちて、あるいはバブル経済の頂点を過ぎたらしい。広がる貧富の格差、そして党中心人物や役人の金銭的不正などに対する民衆の怒りから大きな暴動がいくつか起きている。その不満をそらし、経済発展を支えるために「覇権主義」をかざし、南シナ海や沖縄県尖閣諸島に艦船を派遣して関係国を威嚇している。この動きが長期化しつつあり、ベトナム、フィリピン、インド、インドネシア、アメリカなどが秩序維持の動きを顕著化している。日本も自国の問題として国際協力を図りつつ国益を守らなければならない情勢である。

  韓国や台湾との領土問題摩擦もある。挑発されず、挑発せず、法と正義に基づき、理性的に主張し、国益を守らなければならない。同時に国内経済を立て直し、未来を見据えた社会の建設を図らなければならない。戦前の日本は自国経済の矛盾を海外侵略によって解決しようとした。例えば農村の次三男問題である。当時の海外列強も大なり小なり同じ動きを示して、権益争いを行った。

  戦後67年を経て日本はその悲惨な体験をさまざまに学んだ。争いの歴史は世界の中で形を変えて繰り返す。日本を取り巻く今の情勢もそのような感がある。中国に対する世界の目、北朝鮮に対する世界の目も厳しさを増し、具体的な防衛網を築こうとしている。

  選挙後の新政府が日本をどう運営していくだろうか。外圧への対応とともに国内的には、大震災・津波・原発事故被災地の復興、エネルギー問題、脱原発問題、経済の立て直し、一票の格差是正、少子化する将来への布石など、迅速、的確な対策を求められる。その矢先に中央高速道の笹子トンネル天井板の大量落下事故が起きた。過去に整備した、高速道、鉄道などの維持・点検も一層の努力を要する。
(岩手大名誉教授・元放送大客員教授)


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