盛岡タイムス Web News 2012年 12月 21日 (金)

       

■  衆院選〈岩手の民意─下したもの 求めるもの(下)〉1区 震災が塗り替えた一票 最大勢力消え三すくみ 参院選に向け政界流動化

     
  転換点となった今衆院選。来夏の参院選で県政界は試されることになる  
  転換点となった今衆院選。来夏の参院選で県政界は試されることになる  

 盛岡市の神子田朝市。候補者が握手を求めると、男性出店者の一人が拒んだ。「今回はだめ。今、選挙なんかしてる場合じゃないでしょう」。2009年8月の政権交代、11年の東日本大震災津波と原発事故後、政治に懐疑的な有権者は増えた。復興支援に取り組んでいる市内の50代男性は「支援関係者は今回の選挙は何もしない」と語った。

  「こちらの候補が決まれば階さんから離れる」。日本未来の党の達増陽子氏(47)の陣営には自信があった。擁立発表後、達増氏支持を鮮明にした後援会メンバーもいた。達増氏と民主党の階猛氏(46)双方の陣営に顔を出す人、「両方知り合いだから動かない」と公言する人もいた。

  未来県選対本部長の主浜了参院議員は公示日の出陣式で「選挙の主役は有権者、もう一人は候補者。これを結ぶのが後援会。(達増夫妻)二人でお願いして歩いてできた。棚ボタででき上がったものではない」と、階氏陣営をけん制した。

  終盤、批判の応酬が強まった。階氏選対本部長の佐々木博県議会議長は「東京にいて被災地に全然来ないで、政局ばっかりやっている人になんか誰も期待していない」と対決色を鮮明にした。

  自民党の高橋比奈子氏(54)も「(候補に)選んでくれた親分を裏切る人は、簡単に選挙民を裏切る。裏切らないのは良いが、時間がなくて焦って出した人に岩手は任せられない」と階、達増両陣営を皮肉った。

  支持層は燃えたが、支持政党のない有権者はしらけた。一方で最後まで悩んだ挙げ句、投票へ行かなかった支持者も出た。投票率は前回09年より約11ポイントも低下した。約3万人が今回は投票しなかった計算になる。

  小沢一郎氏は15日1区入りし「民主主義は数だから同じ気持ち、同じ政治姿勢を持った、まじめな一生懸命な人を選んでもらう以外にない」と呼び掛けた。達増知事は個人演説会の応援演説で「みんなの力で変化を引き起こそうというのが政治の本質」と繰り返し訴えた。

  階氏は「今回難しい決断をした。育ててくれた人、恩義を感じている人とたもとを分かって悲しい選挙戦を戦っている」と吐露。「選挙のたび離合集散を繰り返し、自分たちができなかったことを棚に上げて人の批判ばかりする政治はやめにしたい」と、過去との「決別」も口にした。

  同市の清掃員の中年女性は投票前「どの政党が政権を取っても私たちの生活は変わらない。年金は下がり、消費税は上がる。選挙に関心はある。投票はするが、どこにしようか…」と首を振った。

  震災後初の国政選挙で政治は「何ができるか」を突きつけられていた。有権者に漂う閉塞感を打ち破り、期待感が大きなうねりになって候補を押し上げるような動きは少なくとも1区ではなかった。

  県内で圧倒的に勝利する政治勢力は消えた。戦術や運動量だけでは当選できなくなり、政局に明け暮れれば「民意」はぷいとそっぽを向く。今回の衆院選は大きな転換を県政界に迫る象徴的な戦いとなった。次は来夏の参院選。県政界が試されることになる。
(大崎真士)


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