盛岡タイムス Web News 2012年 12月 25日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉164 もう一つの日本の味

     
   
     

 イタリアの各地を巡ると、どんな田舎町にも、1、2軒は「エルボステリア」と呼ばれる自然食品の店があります。

  エルボステリアの名の元は、イタリア語のエルバ(草)。昔は薬草店でしたが、今は世界各国の健康食品も売られています。

  ここアジアゴの街のエルボステリアをのぞくと、アルプス地方秘伝の茶や薬草・中国茶・アラブ食品と一緒に、日本の乾燥ワカメやみそなども並んでいます。売れ筋を聞くと、何とギンナンエキスの老化防止錠剤とか。

  錠剤はイタリア製ですが、イチョウの樹は日本原産。葉の形や色合いが好まれ、近郊の街ヴィチンザの駅前公園には、数十本の大イチョウがあり、黄葉の名所にもなっています。

  でもギンナンは、特有の臭いが嫌われ、毎年、実が落ちると、清掃業者がさっさと片付けてしまうのでした。それが近年になって、老化防止、特に物忘れ予防の錠剤に生まれ変わり、自然食品愛好家に人気というのです。

  先日訪れたミラノの市場には和菓子テントが立ち、日本直送のドラ焼きや大福、カステラなどが並び、法被姿のイタリア人の売り子たちは大忙し。ドラ焼きは1個1ユーロ(100余円)で、飛ぶように売れていました〔写真〕。

  和菓子の基本はあんこ。豆を、砂糖で煮るという習慣のないイタリア人にとっては「新味覚」とのことでした。

  イタリアの豆料理と言えば、野菜と一緒に煮込むか、茹でてサラダ感覚で食べるのがほとんどで、種類も、インゲンやレンズ豆が主流。私がイタリアに移り住んだ15年ほど前には、小豆は全く売られていませんでした。

  ところが最近になって「アズキ」という日本名で市場に出回るようになったのです。イタリアにも、すしだけではない、日本の味への興味と理解が広がりつつあるようです。

  いつの日か、あんこと、イタリア菓子をミックスしたクリスマスケーキがお目見えするかもしれません。


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