盛岡タイムス Web News 2012年 12月 27日 (木)

       

■  〈夜空に夢見る星めぐり〉322 八木淳一郎 おうし座の一角

 毎日の忙しさについ忘れがちな星空ですが、この頃ではひときわ明るく輝く星があって、思わず、何という星なのだろうか、と興味を抱いた方も多いのではないでしょうか。星座早見盤や星座の本で調べても、この星は載っていません。それもそのはず、この星は惑星である木星だからです。惑星は星座を形作る恒星と違って、少しずつ位置を変えていきますから、星座のガイドブックには描かれていないのです。ところで、木星に注目すると、一緒に目に入る赤い色をした星があります。これはおうし座の主星で、アルデバランという名前の星です。

  星の名前の多くはアラビア語によるものですが、アルデバランとは「後に続くもの」という意味です。では、何に続くのか? ということですが、それは有名なすばる、すなわちプレアデス星団に続いて上ってくることを意味しています。プレアデスからおよそ1時間たって、アルデバランが東の空に顔を出してきます。アルデバランは、おうし座のおうしの目の一つに位置しているのですが、この赤い色をした目は、誰かと違って寝不足によるものでも飲み過ぎによるものでもありません。赤い色の星は歳をとって徐々に膨らんできて、表面の温度が下がっているものがほとんどです。アルデバランもそのような星の一つで、直径が何と太陽の50倍もの大きさがあります。

  アルデバランは7個ほどのV字型に並んだヒアデス星団と呼ばれる星の集団の一角にありますが、アルデバランはこの星団には属してはいません。ヒアデス星団は天文学の研究の上で重要な天体です。一つには、この中に含まれる星の一部は、星までの距離を測る物差しの役目を持ったものがあることです。またもう一つは、この星団の150個もの星たちが高速で動いているのです。みなオリオン座のペテルギウスの方角を目指していて、5千万年後にはペテルギウスの東側に群れを成しているであろうと考えられています。

  このV字型の星の並びは、ちょうどおうしの顔に一致しているのも興味深いことですが、おうしの頭から東側に2本の長い角が伸びていて、このうちの一本の角の先には肉眼では見えないのですが、かに星雲というニックネームのある超新星爆発の名残であるガスの広がりがあり、望遠鏡で雲の切れ端のような光をうかがうことができます。西暦1054年に、昼間でも明るく輝く星が現れたことが、日本や中国の書物に記されています。この天体の中心には中性子星というのがあって、1秒間に30回、規則的に電波を出しており、パルサーの名前が付けられています。
(盛岡天文同好会会員)


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