盛岡タイムス Web News 2012年 12月 28日 (金)

       

■  救われた貴重な資料 修復は被災地の復興に 1月県立博物館でテーマ展

     
  県指定文化財「吉田家文書」に含まれる、江戸時代の気仙24カ村の絵地図  
  県指定文化財「吉田家文書」に含まれる、江戸時代の気仙24カ村の絵地図
 

 盛岡市上田の県立博物館(中山敏館長)特別展示室で1月5日から、テーマ展「2011・3・11平成の大津波被害と博物館―被災資料の再生をめざして」が開かれる。同博物館などの主催。一般公開に先立ち27日、報道機関向けの内覧会が開かれた。東日本大震災では沿岸部の多くの博物館施設が津波にのまれ、文化遺産や自然遺産が深刻な被害を受けた。同展では被災現場から救出された貴重な資料を展示し、その文化的価値や専門家とボランティアによる修復作業の努力を紹介する。一連の取り組みが、被災した地域の博物館機能の再生につながり、復興へ重要な役割を果たしてほしいと願いを込める。

  同館は被災直後から、全国の関係機関の支援を受けて文化財レスキューに着手。現在も作業が続いている。今回、展示するのは陸前高田市立博物館、山田町鯨と海の科学館、宮古市の国登録有形文化財盛合家住宅など10カ所から救出された資料。泥や砂、かびを除去し、再び長期間保存できるよう安定化処理した古文書、埋蔵文化財、調度品、民具、自然史標本など約100点を紹介している。

  パネルや写真、映像資料も豊富に使い、被災現場からの救出、洗浄、安定化処理、資料のデジタル画像撮影など一連の作業を分かりやすく解説。3・11津波の被災状況や三陸沿岸を襲った津波の歴史を紹介するコーナーも設けた。

  県指定文化財「吉田家文書」は、仙台藩気仙郡大肝入吉田家が執筆、保管していた執務日記「定留」、気仙郡24カ村の絵図など150点から成る。土蔵にあった7点は流出したが、陸前高田市立図書館に寄託されていた残りの資料はすべて救出した。

  安定化処理が完了した「定留」の表紙(1816)をはじめ、修復前と国立国会図書館で本格的に修復したあとの資料を比較展示。江戸時代の「高田村」の絵図には、高田松原や気仙川の支流なども詳細に描かれている。発見された24カ村の絵図を合成して1枚に復元したところ、村ごとの寸法もほとんど狂いがなく、当時の手書き測量技術の高さが改めて確認された。

  テーマ展は3月17日まで。1月6日と3月3日は午後2時半から展示解説会を開催。関連の文化講演会、シンポジウムなども予定している。開館時間は午前9時半から午後4時半まで。問い合わせは同博物館(電話661―2831)へ。


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