盛岡タイムス Web News 2013年  1月  1日 (火)

       

■  “滝沢市”誕生へ1年 住民自治日本一を目指し 権限移譲 自立促進

     
   
     

 2014年1月1日の「滝沢市」の誕生まで1年となった。人口5万4千人と日本一人口の多い村から住民自治日本一の市を目指す滝沢。11年から始まった滝沢村の市制に向けた挑戦もいよいよ大詰めを迎える。市制への期待や市制移行を目指す理由、市制で変わること、これまでの村の取り組みなどを、自治会へのアンケートや中学生の意見、市制準備室の話などから改めてまとめた。(泉山圭)

  ■市制移行に向けたこれまでの動き

  同村は2011年1月から庁内の村行政体制調査研究会で市制移行に向けた本格的な検討を開始した。同3月11日には「人口5万人の基礎自治体として最も適した行政体制」は「市」であるとの結論を報告書に取りまとめた。

  同4月には庁内に市制準備室を設置し、市制フォーラムや説明会、市制移行に関するアンケートなどを実施してきた。同アンケートでは、回答した3011人の村民のうち、「賛成」2150人(71・4%)、「反対」392人(13%)、「分からない」469人(15・6%)と約7割が市制移行に賛成した。

  村総合計画審議会の答申を受け、12年10月に新市の名称を「滝沢市」に決定。同10月には、市制要件の課題だった県条例の一部改正が県議会で可決され、同村の市制移行の要件が整った。村議会でも同12月に、滝沢市にすることについて県知事に申請するための議案を可決。同12月25日に知事に申請書関係書類を提出した。

  ■滝沢村は、なぜ市制移行を目指すのか

  市制準備室によると、国は明確に基礎自治体を市とし、権限は市を中心に移譲するとしている。村が住民に提供できるサービスは、福祉事務所の権限である生活保護法に規定される保護の決定、実施などの点で、市に及ばないのが実情。今後、市と町村ではさらに住民サービスの差異が生じる恐れもある。

  同村は市制を目指す理由として▽これまでの住民アンケートの結果から住民の意思の大勢は合併を望んでいないこと▽5万4千人の自治体は、「市」がふさわしいこと▽全国の9割が市民であり、「町村」の制度の行政経営では、限界にきていること▽(仮称)自治基本条例を制定し、地域のルールを定め住民活動の環境を整えること▽人口5万人を超えた町村は、市にステップアップし移行していることが現実であること―の五つを掲げる。

  ■市になると何が変わる、変わらない

  福祉行政では、社会福祉法によって福祉事務所の設置が義務付けられる。現在、県が行っている事務を市が直接行うことになり、住民ニーズを的確に把握し、迅速な対応ができるなど、よりきめ細やかな福祉サービスの提供が可能になる。

  財政面での効果としては、交付税の基準財政需要額等の算定項目が増え、財政規模が大きくなるほか、特別交付税などの増額が期待できる。具体的に、人口が滝沢村と同規模の市との財政比較では、人口約5万人の市の平均値(08年度市町村別決算状況)は歳入総額で215億4610万4千円に対し、滝沢村は138億8240万6千円と約80億円の差がある。

  岩手郡の表記や一部大字名をなくすことができるなど、住所表記の簡略化も図られる。選挙制度では首長選、議員選の告示期間や供託金の額が変わる。議会制度も工事請負契約の議決や財産の取得売買の議決の金額が変わるほか、議会招集の告示日も早まる。

  一方、住民税、固定資産税、国民健康保険税、軽自動車税などの税金は変わらない。首長の給料、議員の報酬、職員の給与などにも変更はない。

  ■市になることでの期待

  村が市制移行で期待することは▽市民としての意識が高まることによるまちづくりなどの住民活動の活発化▽国からの財政支援の拡充による財政基盤の強化▽自立した行政経営を持続していくことができる▽将来の超高齢社会に対応できる基盤を構築することができる▽福祉事務所の設置により、保健福祉分野の事務を直接行い、住民サービスが充実▽権限移譲を受けての住民サービスの向上│の六つ。

  村では市制を施行することで、自治体のイメージアップにつながり、地域経済の活性化や新たな企業の進出、雇用の機会の増加など、大きな波及効果も期待できると考えている。


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