盛岡タイムス Web News 2013年  1月  1日 (火)

       

■  〈わが歳時記─1月〉 高橋爾郎

 大地震、大津波のあとの2回目の新年を迎える。復興のスピードは遅々たるものだが、少しずつ進んでいる。大船渡では災害公営住宅の入居が始まった。高台移転や区画整理など、ことしは本格的な復興のつち音が響く年であってほしい。心から願っている。

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  平成25年、ことしは癸巳(みづのとみ)の年である。巳年生まれの人は「温順柔和に見えるが、なかなか剛気の気性で、よく艱難(かんなん)に耐えて大事業を達成する素質。几帳面で大いに出世する人もあるが、その半面、猜疑(さいぎ)心深く、人に事をまかせることができず、人間関係で円満を欠く場合が多い。また親子の縁うすく、夫婦の縁もかわる人が多い。思慮深すぎて決断力に貧しく躊躇してせっかくの好機を逸する傾向がみられる。よろしく自己の性壁を自戒して精進すれば、中年の中期に一大良運を獲得することができる。(神社庁郷土暦)」という。ぜひご精進の上、すばらしい良運をつかんでいただきたいと思う。実は書いているぼくも巳年生まれだが、怠けて一大良運を得ることができずにきてしまった。だが健康には恵まれて新しい年を迎えることができた。ありがたいことである。

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  色とりどりのカラフルなコンテナをびっしりと積んだ列車が雪を巻き上げながらきょうも東京方面に向かってゆく。20両編成の貨物列車だ。ちょうど今頃は北海道からのジャガイモと玉ネギが満載されているだろう。鉄道員だったぼくらは「いもたま列車」と呼んでいた。巨大な大東京の胃袋を満たすために、いまも昼夜を問わず走りつづけている。ぼくは貨物輸送に励んだ昔が懐かしく、遠去ってゆく貨物列車をいつまでも見送るのである。

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  ぼくは棟方志功が大好きだ。志功の画を見ると元気が湧く。今年も志功の画を壁に掲げて長い冬を越えたいと思う。志功のことばも好きだ。「ワ、エカキニナル。わだばゴッホになる。私は自分の心に誓ったのでした。その時から私の絵に対しての心も、古里青森に対するナニガナンダカ、やりきれない、はげしいアブクが盛り上っては消え、盛り上っては消えるような、むやみやたらに血が頭にのぼっている日が続いて東京さ出て―」遂に至り得た女人曼陀羅の世界である。

  慈母さながらのふくよかな丸い顔、大きく切れ上った目と太めの眉、?に差した紅、小さな唇、うねるような黒髪、豊かな胸、そして最後は「マッパダカの顔の額の上に丸い星をつければ、もう立派な佛様になってしまうんだから、ありがたく忝(かたじけ)ないんですネ」という額の白毫(びゃくごう)である。板に這い全身で彫り上げる志功の女人は、そのとき森羅万象を象徴する神となり佛となって、匂い立つばかりに昇華するのだ。

  くれなゐの志功の女人曼陀羅を掲げて冬のいのちを濃くす爾朗
(歌誌編集者)


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