盛岡タイムス Web News 2013年  1月  13日 (日)

       

■ 食のリサイクルで製品開発 盛岡アビリティーセンター 高付加価値の乾燥食材に 障害者の工賃アップに貢献 人徒食とのコラボレーションへ発展

     
  製造した乾燥食材とパウダーを使った製品。これまで約100種の食材乾燥に挑戦。新商品の開発を目指す  
   製造した乾燥食材とパウダーを使った製品。これまで約100種の食材乾燥に挑戦。新商品の開発を目指す
 

 障害者の就労支援事業に取り組む、社会福祉法人自立更生会・盛岡アビリティーセンター(工藤雅夫所長)=盛岡市青山4丁目=は、低温乾燥機と製粉機を活用し、乾燥タマネギや桑茶など付加価値の高い乾燥食材の製造販売を進めている。ジュースの搾りかすや規格外野菜といった通常、廃棄処分される素材に目を向け「食のリサイクル」を実践。地球環境に貢献しながら、障害者の工賃アップを目指す。生産物にこだわりを持つ農家や料理研究家との交流が広がり、新製品のアイデアも生まれている。
 
  食材の低温乾燥機と製粉機械は2010年度、県の補助を受け、施設改装費を含めて約1500万円をかけて導入。11年夏から本格的な稼働を始めた。特殊セラミックスを庫内に備え、遠赤外線とマイナスイオンを当てながら乾燥させる仕組み。風味や色、栄養素を損なわずに仕上げることができるという。乾燥させた素材は製粉機械でパウダーにすることもでき、商品開発の幅が広い。

  これまで、乾燥タマネギ(10c、150円)や県内産桑の葉をパウダーにした「もりおか桑茶」(60c、1千円)などを商品化。ほかにも、リンゴの搾りかすを粉末にしたものを菓子素材として提供したり、地元企業が製造するラーメンの具材として乾燥キムチや乾燥納豆を納入するなど販路を開拓してきた。

  同センターには身体や知的、精神に障害のある利用者31人が通所し、農事作業や廃材木工に励む。これまでも廃油を使ったバイオディーゼル製造など地球環境を考えたリサイクル事業に力を入れてきた。

  余って、安値で投げ売りされている野菜やジュースの搾りかすも活用できれば、環境に優しく障害者の工賃アップにつながると試行錯誤を重ね、機械を導入。利用者一人当たりの月平均工賃も昨年12月の実績で前年同期を約5500円上回った。

  新規事業への取り組みは予想を超える成果も上げている。「食」を通したさまざまな人や素材とのつながりだ。口コミで自家生産した野菜などを持ち込む人が増え、1`当たり500円、製粉込みで700円で請け負っている。天然素材の良さを残したまま乾燥できるため、農業生産者や料理研究家、地域の特産品の商品化を目指す団体などの見学、試作品製造の依頼が相次ぐ。

  同センターの仲立ちで、九戸村の甘茶と同市砂子沢地区のアロニアをブレンドした健康茶の開発なども進む。甘茶を持ち込んだ九戸村ふるさと振興公社の滝谷博支配人は「体にはいいが甘いだけの甘茶。そのままでは酸っぱくて渋いアロニア。組み合わせることで思いがけない可能性があると分かった。福祉作業所であれば加工まで手掛けてもらえる。次の商品にも挑戦しようと夢が広がった」と期待する。

  同センターの菊地満生産活動担当係長(47)は日本野菜ソムリエ協会認定のジュニア野菜ソムリエの資格も取得し、意欲的にフードコーディネートに取り組む。「乾燥食材は競争力のある商品。おいしいものは間違いなく売れる。売り手も買い手も納得し、世間にも認められる本物を作りたい」と意気込み、エビのむき殻など廃棄される海の素材にも注目する。

  「バイオディーゼルの製造に取り組んだとき、外部の人と関わる機会の増えた障害者が顔を上げてあいさつできるようになった。食を通したネットワークは、センターの利用者にとっても自信になる」と力を込める。

  岩手大農学部の鈴木幸一名誉教授の助言を得て桑茶の製品化を進めた、職業指導員の吉田淳さん(57)も「健康や長寿に必ず貢献できる商品だと思う。販路も工夫し、多くの人に飲んでもらいたい」と張り切る。

  来月20日には、菊地さんらが企画した、ビジネスマッチング商談会「もりおかマッチング広場&もりおか福祉ブランド新商品発表会」(同市社会福祉事業団主催、会場アイーナ)も開催される。福祉の現場から新たな食産業を生む挑戦をアピールする計画だ。


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