盛岡タイムス Web News 2013年  1月  19日 (土)

       

■ 国は公式見解を ILC誘致 1、2年の活動が勝負 吉岡正和氏(高エネ加速器機構名誉教授)が強調 盛岡で講演会

     
  講演する吉岡氏  
  講演する吉岡氏
 

 国際リニアコライダー講演会(主催・日刊岩手建設工業新聞社、県技術士会)は18日、盛岡市中ノ橋通1丁目のプラザおでってで開かれた。高エネルギー加速器研究機構名誉教授の吉岡正和氏が、本県が誘致を目指す国際リニアコライダー(ILC)について講演した。素粒子物理学の国際研究機関のILCは本県と佐賀県が誘致を運動しており、今夏には国内候補地が一本化の見込み。吉岡氏は政府に対して日本誘致の公式表明を期待するとともに、本県に対して産官学によるグランドデザインの構築を求めた。大平尚県首席ILC推進監と講演した。

  講演会には約150人が参加。日刊岩手建設工業新聞社の大内豊社長は「本県はILCを震災復興の象徴プロジェクトとして位置付け、国や関係機関に北上高地への受け入れを積極的に要望している」とあいさつ。

  吉岡氏は「昨年7月4日、ヒッグスライク粒子の発見が発表された。われわれのリニアコライダーの取り組みを後押しする、重要な発見だった。昨年12月には国際合同チームによる加速器測定器技術設計最終報告書がほぼ完成し、急速に実現に向けての動きが活発になった。ILCの日本誘致の可能性が高まっている。誘致にはプロポーザルの作成、細部の詳細な設計、国際組織のILC研究所の詳細設計、国際的な承認プロセスの課題を超すこと」と述べた。

  「日本が率先して課題を克服しなければならない。そのための組織形成を1月中にする。これからのわたしたちの1、2年の活動が日本誘致の勝負を決めるというメッセージがある」と述べ、学界として正念場であることを強調した。自民党のマニフェストにILCが盛り込まれたことから、政策的な後押しを期待した。

  国内候補地の一本化については、「まだはっきりしていないが、おそらくさまざまな科学的見地でなされると思う。それなりの権威を持った委員会が立ち上がると思う」と述べた。地元の取り組みに対しては「建設については皆さんも調べていると思う。グランドデザインするよう地元の人は調べてほしい。茨城県には巨大な実験施設があるが、外国から来て2年、3年住もうとは思わない。子どもの教育や家族の生活はどうするとか。そういうところでは国際研究所のホストはできない。技術的にも何もないところに作るのは解決しなければならないことが多い。誘致したいと思っている人はそういうことを調べて。われわれは研究所に必要なグランドデザインをする」と述べ、地元と学会を両輪にした誘致運動を唱えた。地元に対しては国際的に研究者を受け入れるための社会資本整備を求めた。

  「2015、6年に始まることを想定するなら、推進本部を作り、リニアコライダー研究機関のもとで仕事をする。国内ではまさに新政権になったので、期待がそろそろ出てくれなければ困る。先ほど文部科学大臣が『期待している』と言ったことを聞いた。実現するなら年内に政府の公式見解が出てくれないと。研究者の集団と誘致母体で確かなものにして、政府の公式見解を。研究者だけではだめ。今はヒッグスがあるので旬だ。欧米は日本に作ってほしいと言っている。皆さんも一翼を担い、動きを引き出して」と述べた。


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