盛岡タイムス Web News 2013年  1月  22日 (火)

       

■  〈あなたへの手紙〉願いごと 吉野重雄

 

太平洋戦争が終わり
囲炉裏が薪ストーブに
かわったころ
雪深い村で
藁しべ布団に潜り込み
一つだけの湯たんぽを
兄妹で
回しながら使っていた

後期高齢者と呼ばれる
今は
電気ストーブに電気炬燵
電気洗濯機に電気掃除機
電気に取り巻かれ
電気に頼りきり
電気に急かされて暮らしている
三・一一から後は
油断ならない電気もあると
脅かされ怯えてさえいる 

それでも
年賀状はPCで印刷し
大晦日ぎりぎりに間に合わせた
TVの紅白歌合戦は
知らぬ顔に知らぬ歌ばかりで
早々に退散し
電気毛布に潜り込んだが
スイッチを入れ忘れて
いい夢など見れなかった

村はずれの神社まで
深い雪を蹴散らしながら
われ先にと初詣でした
少年の日
願いごとは何だったか
夢は叶えられたか
いくら考えても
思い出せない

 


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