盛岡タイムス Web News 2013年  1月  22日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉166 及川彩子 自慢のラビオリ

     
   
     

 週末の夜ともなると、友人たちを自宅に招き、にぎやかな晩餐(ばんさん)で盛り上がる、陽気なイタリア人。私たち家族が、よく招かれるアントニオ家は、ヴェローナ市の中心街にある大きなアパートメントです。

  アントニオ家自慢の料理は、夫人フランシスカの手作りパスタ。食感と歯ざわりは「レストランよりうまいよ」と夫のアントニオ。

  フランシスカは、中央アメリカのエルサルバドルから、アントニオに嫁いで25年。5人の男の子の子育てに奮闘する肝っ玉母さんです。「フランシスカ」は、イタリア語で「フランチェスカ」。でも誰もが彼女の母国語・スペイン語に親しみを込め「フランシスカ」と呼ぶのです。

  彼女の息子たちが、作曲やピアノ、舞台芸術を学んでいる関係から私たちと知り合い、折に付け、招き招かれるようになったのです。

  アントニオに嫁いだ当初、習慣の違いによるストレス対策として没頭したのがパスタ作り。「中米のパン」と言われるタコス作りが得意だった彼女にとって、パスタ作りはお手のもの。その腕前は、イタリアの職人以上と近所でも評判です。

  彼女の十八番は「ラビオリ」。イタリア風ギョーザのラビオリは昔、地中海の港町ジェノバの船乗りが、船内の残り物をパスタに詰めて食べたのが始まり、またカブ(ラーバ)の詰め物料理が始まり…など由来はさまざまですが、ここ北イタリアの食卓でよく食べられるメニューです。

  ラビオリは、丹念にこねた粉を薄い板状の生地にし、フレッシュチーズ・ホウレンソウ・サラミを少量ずつ並べ、もう一枚の生地をかぶせ合わせ、四角に切り抜いてゆで、野菜と肉で何日も煮込んだ黄金色のスープに浮かせて出来上がり。まさに水中の花です〔写真〕。

  会うたびにフランシスカは「祖国は遠すぎて、まだ一度も帰ってないわ。いつかラビオリを故郷で振る舞いたい」と笑うのでした。
 


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