盛岡タイムス Web News 2013年  1月  26日 (土)

       

■ 鳥獣戯画に似てる! 柳之御所跡から出土 墨書折敷のカエル絵 文化環境の高さ裏付け

     
  柳之御所遺跡から出土した墨書折敷(県教委提供)  
  柳之御所遺跡から出土した墨書折敷(県教委提供)
 

 県教委は25日、平泉町の柳之御所遺跡から、墨書で国宝「鳥獣人物戯画」(京都市高山寺蔵)に似た、擬人化したカエルの絵が描かれた折敷(おしき)片(約4×10a)が見つかったと発表した。同戯画が描かれたのとほぼ同時期の12世紀後半のものとみられる。当時、同戯画は宮廷などに出入りするごく限られた人々しか知らなかったと考えられ、最先端の都の文化が短期間で平泉に伝わっていたことを示す重要な発見という。

  折敷片は右側に擬人化されたカエルがススキと扇を持っている絵が描かれ、その左側にカタカナとみられる墨書が記されている。昨年10月下旬、奥州藤原氏の政庁跡とされる柳之御所遺跡を囲む2条の堀跡のうち内側の堀跡(幅約13〜14b、深さ約4b)から発掘された。12世紀後半代のかわらけなどと一緒に出土していることから、同年代の資料とみられる。

  折敷は杉などで作った盆で宴席に使われていた。出土品は四辺が切り取られ、折敷として使われたあとに、形代(かたしろ=人の形を模して祭祀の際に人間の代わりに用いた板)などに再加工したものと考えられる。

  カエルの絵は左半身が欠けているため、本来の形状は不明。墨書は9文字あり「アマリ」「ウ」など一部読みとれるところもあるが釈読は難しい。

  鳥羽僧正覚猷(1053〜1140)筆の伝がある国宝の「鳥獣人物戯画」は4巻から成る。このうち、甲巻のウサギやカエルが相撲や弓当てなどを楽しむ様子を描いた遊戯戯画がよく知られる。

  板絵を確認した有賀祥隆東北大名誉教授(美術史)によると、今回発見された板絵は、筆遣いから見て専門の絵師ではなく、絵心のある素人が描いた可能性が高いという。素人画とはいえ、小動物を擬人化する画がほとんど知られていない時代に、平泉に同様の絵が存在していたことは、文化環境の高さを裏付けるもので「実に貴重な絵画資料」と評価する。

  県教委は柳之御所でこれまで発掘された遺物同様、国の重要文化財指定を目指す。柳之御所遺跡の世界遺産追加登録へ向けても明るい材料になる。

  実物は保存処理をした上で来年度以降、公開したいとしている。

 


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