盛岡タイムス Web News 2013年  2月  3日 (日)

       

■ 〈ジジからの絵手紙〉29 菅森幸一 風邪

     
   
     

 当時、風邪で学校を休んだ記憶はほとんどない。だいたい風邪なんか病気と思われていなかったのか、よほど高熱にでもならぬ限り医者にかかる事はなかった。

  しかし、大抵の子どもがそうであった様に、食糧事情の悪化で栄養状態も悪く今のように社会全体で風邪の予防措置を講じるという風潮にも乏しく、ジジはしょっちゅう風邪をひいていた。

  取りあえずわが家ではネギを真綿にくるんで首に巻くという一般的風習から始まり、「葛根湯(かっこんとう)」という漢方薬を飲み暖かくして寝るという基本的対処療法が中心だったが、せきがひどいと「吸入器」なるものが登場した。

  「吸入器」は水をアルコールランプで沸騰させ細管から噴出する水蒸気の圧力で薬液を霧滴状態にして口や鼻から吸い込ませるもので、子どもにはえらい忍耐を強いる代物だった。

  タオルをヨダレかけに、頭からは毛布をかぶり、大きな口を開け、長時間蒸気を吸い込むのだから気が狂いそうになる。それでも我慢できたのは、さすがかわいそうに思った母さんが作ってくれるご褒美の甘い「葛湯」が待っていたからだ。


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