盛岡タイムス Web News 2013年  2月 13日 (火)

       

■  〈日々つれづれ〉158 三浦勲夫 ミステリー

 マジックには種も仕掛けもあり、ミステリーにも種も仕掛けもある。それが分からないから、マジックやミステリーの面白さがある。いやマジックは種も仕掛けも分からない方が面白いが、ミステリーの面白さは、それらが解き明かされる過程である。たいそうぶった書き出しだが、何の変哲もない日常生活のひとコマ、ふたコマからの感想に過ぎない。

  好きな曲をいつもプレーヤーやイヤホンで聴いていると飽きる。飽きて、聴くのをやめて、しばらくしてまた同じことを再開する。そのようなことを繰り返していると、別なことを試したくなった。テレビと接続したDVDプレーヤーにCDを入れて、テレビ・スピーカーから聴いてみた。音が違う。ステレオのように音の幅と深さが増した。静かな曲なので飼い犬も静かに寝そべっていて嫌がらない。何のことはない。自分の英語学習会の教室で小型テレビを使って実行している方法である。

  数日後、今度はDVD映画を久しぶりで見た。アガサ・クリスティのミステリー「スペイン櫃(ひつ)の殺人」である。小説の映画化だ。名探偵ポワロが殺人事件の謎を解いていく。善人が疑われるが容疑が晴れる。思わぬ犯人のベールがはがれて逮捕される。気の毒なのは殺された男性だが、殺される理由はある。横恋慕の犠牲である。人間性が抱える「さが(性)」が描かれる。

  戦前の英国上流社会の社交生活の一面である。と言っても階級社会を批判する社会性を出すと言うよりも、人間に共通する人間性を取り上げて、謎解きを楽しませる。大衆性、娯楽性を狙ったミステリーといえそうだ。私のような観客とは別世界の人間が繰り広げる、縁遠い話である。

  わが家の犬はその映画を見ようとしないが、会話音声に驚く風もない。ありきたりの居間で見た一時間のドラマだ。それよりもこのロックの最近の2カ月余りがミステリーというか、不思議である。12月下旬におなかが膨れて獣医師に見てもらった。おなかに「腹水」がたまっているということで部分麻酔をして抜いてもらった。投薬をなんとか食べさせて経過観察となった。その間、超音波で内部を検査したが、腹水を抜くこともない。1月末からおなかがへこみだした。大便も良くなった。快方に向かっているのだろうか。

  素人にはミステリーじみて見えるが原因はあるのだろう。現在、調子がよいのは、その陰に家族の心遣いと協力があったと思っている。犬も安心して気分が悪い時は横になって静養した。何かのストレスが原因だったのか? ミステリーである。

  2月になった。寒さの中にも、暖かな日差しが顔を出す。長く不況を続けた日本経済界もアベノミクスの言動と政策で日差しを浴び始めている。ミステリーじみてはいるがどう進展するか。国際経済の中で国政や財界のリーダーは困難なかじ取りをしなければならない。中国ではここにきて北京を中心に経済躍進の裏のマイナス面、深刻な大気汚染の暗雲が広がる。ここでも、国政や経済界のリーダーの賢明な対策が問われる。万里の長城を営々と築いた中国である。古来、外敵との闘争を繰り広げてきた。尖閣問題でも日本への威嚇がエスカレートする。冷静な対応で最悪の事態を回避したい。
   (岩手大学名誉教授)


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