盛岡タイムス Web News 2013年  2月 19日 (火)

       

■  〈あなたへの手紙〉「星のふる駅で(心象風景)」 斎藤駿一郎

 

僕は待っている
名の知らない銀河鉄道の駅で
たった一人
汽車は来ない あの人は来ない
(帰ろうか やっぱり帰ろうか)

駅の窓という窓は全開で
微風は流れるから
季節の香を一寸思い出したり
ピッコロ風な音が鳴ったり
ここはほんとうに駅なのか

(帰ろうか もうどうにもならない)

西の山々が
なぜか光で縁取られた山の稜線が神秘めいて
もういっそうここらは星のなか

(灯りをもってあの人は必ず来るといったのだ)
考えてみると僕は
ここにいたことも忘れて…
(汽車は来ない、やっぱりあの人はこない)
そんな中で僕はどんどん薄れていくのだ
僕は薄れていくということは
僕の存在の時間が希薄になることだから

でもこの安らぎはなんとしたことだ
無数の星の中
名の知らない駅の古ぼけたベンチで
僕は次第に無になっていく

(たとえ騙されたとしても、僕は信じよう…
あの人は灯りを点してきっと来るといったのだ)

 


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