盛岡タイムス Web News 2013年  2月 20日 (水)

       

■  〈日々つれづれ〉159 三浦勲夫 隕石落下

 2月15日の午前9時過ぎ(現地時間)、ロシア南部ウラル地方のチェリャビンスク州の空に光る物体が出現、みるみる近づいて輝きを増し、ジェット雲のような尾を引いた。そして大きな爆発音がして近隣の建物が崩れ、ガラス窓が枠ごと吹っ飛び、ガラスの破片などが1千人余りの人たちを傷つけた。隕石(いんせき)は爆発した後に、一部が都市部を離れた湖の氷を破って落下した。アメリカ航空宇宙局NASAの推定では、隕石は大気圏突入前、直径17b、重量1万dだった。事前に地球接近を予測されてはいなかった。

  爆発音は衝撃波であり、それは超音速の物体が空中を飛ぶときに生じるという。地上にぶつかると物体を空気の波動が破壊する。最近の大きな隕石落下事件では約百年前の1908年にシベリアの森林地帯に落下して周辺数十`の樹木が全部なぎ倒されたという。隕石の落下件数は一年に800件はあるというが、都市に落ちることはまれで、われわれの記憶にはあまり残らない。

  「杞憂」という言葉があって、天が地上に落下することを恐れる愚考を意味する。しかし空から、小惑星や隕石が地球に衝突する可能性は存在する。今回のロシア南西部での落下は、たまたまカメラに納められ、その動画を見るとSF映画かと思わせる迫力があった。

  2月16日から17日にかけては、他の小惑星が地球に最接近して、衝突することなく遠ざかった。仮にある小惑星が地球に異常接近し、衝突が避けられないコースにあると計算された場合はどうするか。アメリカのシミュレーション科学番組では、地球からミサイルを発射して小惑星にぶつけ、そのコースをそらすという設定があった。約6550万年前には巨大隕石がメキシコのユカタン半島に衝突して巨大なクレーターを作った。地殻の破片が空中を覆い、太陽光を遮蔽し、当時地球を支配していた恐竜を絶滅させたと言われる。

  ここで北朝鮮の長距離ミサイル発射成功、続く核実験実施について考え合わせることになる。北朝鮮が官民を挙げてそれらの成功を声高く称賛する。西側諸国のみならず、兄弟国たる中国やロシアの制止、反対をも押し切って、今後も核実験を繰り返し「強盛大国」路線を走り、国内の飢餓や経済的不満を国外にそらそうとする。朝鮮半島から非常な不穏要因が飛来する事態を迎えている。

  2年前の東日本大震災津波はわが目を疑う都市総破壊の実像をわれわれの網膜に焼き付けた。復興作業は今後何十年と続けられ、子孫に引き継がれる。悲惨から立ち直る努力はすでに日本が戦後行ってきたところだ。工業化を振興し、半面では農業の維持に苦労し、科学技術や教育の興隆に努めた。米国からの援助に自国民の努力を積み重ねた。その過程を生きてきた日本人は世代を超えて、自力更生と国際協調の努力の価値を知っている。

  インフラ整備を後回しにして、核兵器の開発によって先進諸国に譲歩を迫る国の姿勢には大きな危惧を覚える。中国共産党系機関紙も北朝鮮の核装備安全保障方針を「幼稚」であると批判し、援助を縮小せよと主張していると報じられる。北朝鮮の対米交渉の今後の進展、国連脱退の可能性など、国際情勢は複雑な進展を見せている。大きく揺れる極東情勢は武力に屈しない政治と外交を政府に迫っている。
(岩手大学名誉教授)
 


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