盛岡タイムス Web News 2013年  3月 21日 (木)

       

■  高田高の被災資料を修復 約1千点を水洗浄や乾燥 きょうまで盛岡大学で 学生や教職員約60人が作業

     
  被災した高田高の校内資料を修復する盛岡大の学生ら  
  被災した高田高の校内資料を修復する盛岡大の学生ら  

 東日本大震災津波で被災した県立高田高校の校内資料の修復活動が18、19、21日、滝沢村滝沢字砂込の盛岡大学で行われている。高田高は震災で校舎3階まで津波が押し寄せ、校内資料の一部は流されずに済んだものの、塩水や砂をかぶった。校内での修復は難しく、司書課程のある盛岡大や富士大が中心の被災地の図書修復および整備についての研究チームが修復依頼を引き受けた。同大では被災資料のドライクリーニング、水洗浄、乾燥作業などを実施し、4月以降に同校に返却する。

  修復する資料は、研究紀要など冊子、学校要覧などのパンフレット、生徒会誌や学校新聞などの1枚ものプリントを合わせて約1千点。3日間で盛岡大の学芸員や図書館司書課程の学生、司書課程教員、図書館職員、明星大の教職員、日本図書館協会関係者ら延べ約60人が参加。大槌町の議会資料修復などを手掛ける遠野文化研究センター職員から指導を受け、作業を進める。

  冊子やパンフレットなどは水洗いせず、1nずつ丁寧にはけやブラシ、スポンジなどで細かい砂や汚れを落としていくドライクリーニングという作業を実施。1枚もののプリントなどは、ドライクリーニング後にアルコール液でカビの繁殖を防ぎ、不織布に挟んで水で紙にしみこんだ塩分を洗い流す。参加者は破損しやすい紙を扱う作業を慎重に根気よく進めていた。

  残された校内資料には、生徒会の執行部誕生や県大会など部活動の成績が掲載された高田高校新聞、広田水産高との統合関係資料なども混じる。同大の千錫烈准教授は「普通の資料であれば購入もできるが、学内資料は関係者しか流通しない。学校の動きや歴史、記録を伝える貴重な資料」と話す。強豪校として知られる同校野球部の活躍の様子が掲載された新聞の切り抜きなども含まれている。

  同大日本文学科3年の石川伊央菜さん(21)は「内陸に住んでいるのでテレビでしか沿岸部の状況が分からない。現地でボランティアも探したが、なかなかできず、大学の図書館でこういうボランティアを募集していると知り参加した。せっかくの資料が津波で使われなくなるのはすごく残念。こういう形で洗浄し、きれいになることで、またいろいろな人に読んでもらえるよう再生したい」という。

  被災地の宮城県気仙沼市出身の佐藤一希さん(19)は同大社会文学科1年で、将来は学芸員を目指す。「地元にいたころも復旧関係の仕事はあったが、泥を取り除いたり実際に体を動かす作業が多かった。資料などを扱うのは初めて。改めて資料の修復作業の必要性を感じた。高田高は校舎自体が被災している。こういう資料が残っていると、のちの生徒が資料についた泥や汚れを見たときに震災を思い出す記録としても意味があると思う」と資料修復の意義を感じていた。

  臨床心理が専門の同大の春日菜穂美図書館長は同校でカウンセラーを務め、今回の修復作業の橋渡しをした。「高田高は80年の歴史ある学校。修復作業はその歴史をもう一度取り戻す作業。大学の司書課程、学芸員課程の学生が手を挙げてくれたことに感謝したい」と話した。
 


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