盛岡タイムス Web News 2013年  4月 10日 (水)

       

■  〈口ずさむとき〉328 伊藤幸子 愛球ノート

 円くまるく体ちぢめてゐたる捕手伸び上がりたり三振をとりて
                                 斎藤祥郎
                        「角川現代短歌集成」より

 春の私の最大の楽しみ、センバツ高校野球が終わった。前日の済美高校対高知高校の3対2の接戦とは違い、17対1という大差である。

  「夢叶(かな)うまで挑戦」とは、済美高校、上甲正典監督のことば。大きな横断幕が応援席にはためく。4月3日午後0時30分、第85回センバツ決勝戦の開始。快晴、2回表で済美が1点を先制し、その勢いが続くかと思ったが5回ウラ、浦和学院の猛攻が始まった。

  ノーアウトで打席に立った西川元気くんのヒットから、続くピッチャーの小島和哉くんがやや高めを長打。小島くんの待っていた球で、変化球が真ん中にとびこんできた。相手方のエラーやデッドボールで満塁、たちまち8安打、7点もの高得点になった。アルプススタンドは赤いメガホンや赤いジャケットに埋め尽くされ怒濤(どとう)のようにゆらめいた。さらに6回ウラでも2点入り、3日連投の済美の2年生安楽智大ピッチャーは降板、涙を見せた。

  私はその3日連投も観戦。4月1日、対岐阜商高戦では8回ウラ満塁押し出しなどで6点をあげて逆転勝利を決めた。2日の四国勢同士の対戦では高知高校の4番打者和田恋(れん)くんの名前がフルネームで響いた。和田誉士人くんと2人いるためもあるが8回ウラではピッチャーもつとめ緊迫した展開だった。

  思えばおととし、震災のときの選抜大会は胸が痛んだ。被災後12日目に開幕、大会旗は半旗が掲げられ、黙祷(もくとう)がささげられた。その間にも余震があり、放射線情報が画面に掲示され不安だった。この年からカウント表示が審判コールにならってボール先行に「スリーボール、ワンストライク」などと発声されてぎこちなかった。今では何ら違和感がなく慣れてきた。

  私は今、平成16年のセンバツ大会の自分の愛球ノートを見ている。9年前の4月2日、準々決勝は済美対東北高校。3月30日の対大阪桐蔭戦ではダルビッシュ投手が投げて3対2で勝ったが、2日には真壁賢守くんが投げ、済美高校がサヨナラの逆転ホームランで勝利。このとき上甲監督は56歳、東北は若生正広監督だった。

  決勝戦は愛工大明電と当たり、済美の2年生ピッチャー(名は伏せる)に「勘九郎に似ている!」と走り書きがあり笑える。数々の名場面があり、ドラマを生む球児たちの活躍。すぐ4カ月後の夏の大会が待たれる。 (八幡平市、歌人)



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