盛岡タイムス Web News 2013年  4月 11日 (木)

       

■  心輝く造形遊び からふる 片岸なお子さんがプロジェクト開始 大震災の痛手抱えた子のために 相馬市でワークショップ 来月は大船渡、陸前高田で

     
   福島県相馬市のインドアパークで開かれた「からふる」のワークショップ。代表の片岸なお子さん(後列右から3人目)と参加者ら  
   福島県相馬市のインドアパークで開かれた「からふる」のワークショップ。代表の片岸なお子さん(後列右から3人目)と参加者ら
 

 盛岡市の美術家、片岸なお子さん(47)は、心輝く造形あそびプロジェクト「からふる」を立ち上げた。長年の美術活動で培ったレシピをもとに、東日本大震災津波の痛手を抱える子どもたちのためにワークショップを展開。実践を重ね、NPO法人化を目指す。

  3日には、福島県相馬市で1回目のワークショップが開かれた。場所は、一般社団法人Bridge for Fukushima(ブリッジ・フォー・福島)が運営する幼児向けのインドアパーク。正式オープンに向けて、元倉庫の無機質な空間を色で満たしていった。

  この日の主役は0歳から11歳までの39人。約50畳の壁や床にめぐらせたプラダンシートは、特製の自由帳。バイキング形式で道具と絵の具を選び、思いの丈をぶつけた。

  最初は筆やローラーを使っていた子も、ほうきを持ちだしてみたり、手足に絵の具をつけてみたり。形式にとらわれず、心のままに。「そうそう、もっともっと」と片岸さんは子の可能性を引き出していった。

  きゃっきゃっとはじける笑顔に保護者も降参。服の汚れを気にしていた親も最後には「大丈夫、大丈夫。洗えばいいんだから」と寛大に。わくわくが詰まった子どもたちの絵はパークに生命力を宿した。

     
  心が解放されていくにつれて行動も大胆に  
  心が解放されていくにつれて行動も大胆に
 


  井上煌成ちゃん(5)は「お顔が描けた」と満足げ。姉の美衣奈さん(9)も夢中で虹を描いていた。母の彩香さん(24)=相馬市=は「震災が起きてから外で遊べなかった。いいストレス発散になったと思う」と振り返った。

  佐藤飛羽(そら)さん(7)は「もっと遊ぶ時間があればいい。今度は違う遊びを」とリクエスト。母の祐子さん(同市)は「のびのびと楽しそうにしていて良かった。子どもを遊ばせながら休憩できる場所があれば」と話していた。

  依頼した伴場賢一代表理事(42)=福島市=は「子育てをしているお母さんたちは、放射能のリスクから子どもを守るためにストレスと闘っている」と案ずる。「花を摘むことを駄目だと教えないといけない状況は不健全。それは子どもも感じている。この場だけでも思いっきり遊んで、けんかをしてほしい」と願った。

  「からふる」立ち上げのきっかけは、2012年10月に訪ねた大槌町。片岸さんが主宰するアトリエのメンバーと一緒に、保育所の園庭でワークショップを開いた。帰り際、手を振る園児の姿に「一瞬の夢を与えて去っていくのではなく、『いつも見守っているよ』を行動で示す」と決意。継続的な活動を誓った。

  5月には大船渡市と陸前高田市でのワークショップが決定し、賛同者も増えている。「上手なものを作ろうではなくて、将来につながる時間の積み重ねを提供していきたい。希望があれば、どこまでも行く。この先までずっとつなげていく」と片岸さん。

  「色の数ほど、感情がある」。「からふる」の由来にあるように、子どもたちのあらゆる感情を受け止めていく考えだ。


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