盛岡タイムス Web News 2013年  4月 16日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉172 及川彩子 小学校つれづれ

     
   
     

 イタリアの小学校は5年制。6歳の秋に入学、11歳の6月に卒業します。最終学年のわが家の次女もあと2カ月余り。長女以来、10年間の小学校との付き合いも終わりです。

  振り返ると、この学校生活を通じて、イタリアとイタリア人を、無意識のうちに、日本と比較し続けた日々でした。

  イタリアの学校は毎日が午前授業。入学式・始業式・卒業式それに運動会や文化祭などの行事もありません。どこか寂しい感じもしますが、それ以上に、友達との絆の大切さ、生活の基本は家庭・家族であることに気付かされるのでした。

  学校生活の中で、特に興味深いのは、ノートの筆記のすべてがボールペン〔写真〕。筆箱は、数本のボールペンと修正液です。当初、長女が算数の計算をボールペン書きし、何度も修正し、ノートはボロボロ。「鉛筆で書きなさい」と叱ったことがありました。

  先生に、「なぜ鉛筆を使わないのですか」と聞くと「後の修正はできない…という緊張感を持たせるためよ」とのこと。長女も学年が進むにつれ「考え抜き、一回で仕上げる」習慣が身に付き、修正液を使う回数が、ぐんと減ったのは言うまでもありません。

  もう一つは、自主性の尊重。豪州に移住した学者・杉本良夫著『日本人をやめる方法』に、「日本の小学校では当たり前の班システムは、班同士が同一の目標に向かって競争するため、相互監視、小集団の見張り合いが生じ、自由に飛び回る人を嫉妬する弊害もある」と記されています。

  班同士ではなく、「個人の選択の自由」を重視するイタリアの学校。自己主張の強いイタリアっ子に混じり、引っ込み思案だった娘たちも今は何事にも前向きになりました。

  日本に帰るため、毎年のように1カ月余りも学校を休む娘たちを「素晴らしい経験」と送り出しくれた先生たち。イタリアの小学校は、子どもたちの故郷なのです。


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