盛岡タイムス Web News 2013年  4月 18日 (木)

       

■  円滑化法で大幅減 倒産件数 12年度は過去10年間で最少 復興需要が底上げ 今後は増加の懸念も

 2012年度で終了した中小企業金融円滑化法の立法期間中、県内の倒産件数が大幅に減少したことが分かった。東京商工リサーチ盛岡支店の調査によると、12年度の県内倒産件数(負債総額1千万円以上)は42件。過去10年間で最少の件数となった。円滑化法の政策効果を、震災の復興需要が増幅する形で、県内の企業倒産に小康をもたらした。円滑化法の終了後も国は金融機関に貸付条件の変更や、円滑な資金供給に努めるよう求めており、県内の企業倒産は今後も低水準を保つとみられるが、先行きには増加を懸念する声もある。

  円滑化法は中小企業など債務者が金融機関に返済負担の軽減を申し入れた際、可能な限り条件変更に応じるよう求めた時限立法で、09年12月から今年3月まで施行された。

  東京商工リサーチの調査をもとに、財務省盛岡財務事務所がまとめた県内倒産の統計によると、円滑化法施行後の10年第1四半期18件(前年比18%減)、第2期20件(同36%減)、第3期20件(同31%減)、第4期17件(同31%増)。

  11年は第1期14件(同22%減)、第2期15件(同25%減)、第3期18件(同10%減)、第4期13件(同24%減)と漸減した。12年は第1期10件(同29%減)、第2期14件(同7%減)、第3期7件(同61%減)、第4期10件(同23%減)、13年は第1期11件(同10%増)。件数では2年間にわたり前年割れを続けた。

  負債総額ベースでみると、10年第4四半期の113億円が、11年同期は18億円、12年同期は31億円と低額に推移した。 

  日銀盛岡事務所の大山陽久所長は「円滑化法終了後も、法律で定められたことはマニュアルで同じように運用されるので、急に状況が変わることはない」と話す。その上で「岩手県では震災後にコンサルティングや相談が広く行われていたことともあり、3月から4月にかけて相談件数が急に増えることはない。しかし借りたお金は返さなくてはならない基本がある」と述べ、モラルハザードに対する企業側の自覚を促す。

  「今の時期は数年にわたる震災特需が続き、全国的には株高、円安の追い風がある。この時期に立て直しの筋書を考え、円滑化法終了後にギャップが生じないよう、金融機関や行政も相談やコンサルのうえで真剣に考える時期にある」と話す。

  帝国データバンク盛岡・水沢支店の豊山智支店長は、円滑化法終了後の状況について、「倒産が増えるかというと、増えるのではないか。条件変更やリスケジュールをした数が県内でどれだけか、金融機関の開示では、どこの会社かは分からないが、かなりな数であろうと推測する。円滑化法が銀行にとって良かったのかという議論はあった。先送りであって解決ではないという意見もあったが、出口がない中で先送りもできなければ倒産は増えただろう。そのさなかに震災が起き、その後、最小限の倒産にとどまったのなら、一定の効果は上げたと思う」と評価する。

  「本来は円滑化法の導入期間に経営を立て直す、経営改善を進めて期間終了後はスムーズな返済にシフトすることが目的。企業それぞれさまざま課題があり、売り上げを伸ばすことによる経営改善はあるだろう。逆に支出を減らし、経費やコストを削減し、難しければ業種転換を考え、無理な部門は切るなど、課題は違うが、利益を生む体制にしなければならない。財源を生むため返済を猶予してもらい、改善する目的に沿ってできた会社がどれだけあるのかということ」と話し、経営改善の中身を問う。

  財務省盛岡財務事務所は、2月25日から盛岡市内丸の事務所に円滑化法終了後の企業の相談窓口を設けた。八重樫敦理財課長は「相談件数は数件程度で、円滑化法終了が周知されていないなどの照会はきていないが、きめ細かく対応するようにフォローアップし、相談する場合は当方が受け関係機関につなぐこともしている」と話している。


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